連載は続く~ SF 掌編『ラインゴールド氏以来のネット社会関連文章』編

 

相当以前に他で一般化し始めたネット初期での危ないほうへと向かわせがちな内からの力の向きの辺りをまとめてくれていたUS発の翻訳本(*1)について書き込んだりしていた。
BBS(かつて繁盛したネット掲示板)での書き込み熱が勢いあまって関係者の中のだれかを死に追いやるくらいの状態を招いてしまう。
やらせ演出業系な諸氏におけるリアルな他人誘導と絡む事件的なのとは違って、ネット経由でのつながりならでは、という落とし穴をネット初期の時点で明確に指摘されていた。

そういったことも含めて、ネット利用に関する注意はネット関係者も含めて踏まえて装置化するようにしてきたと素人には思えるけれど、媒体としての誘う力をどう扱うべきかについては今でも難しそうで明確な方向性は持ち出せていないみたいだ。
だから・・・と引用してしまうのだけど、実は、こちらの引用してみたくなったことが先で、そのための前置きだった。
コウノメソッドのことは何度も引用させてもらってきた。
サイエンス的な手続きを尊重しあえる世の中だから、そういう距離感で引用させてもらっている。
鹿児島発で熱心に発信されている方もおられて、その 2021-09-06 分、『Youtubeに嵌まる中年男性を見て、同じく中年男性が感じたこと。 』が、ヒトは霊長類とかつい思いたい気持ちはわかるけれど、生き物たちと共に居るだけなのさ・・というスカっとした距離感でネットの今時をざっとまとめてとらえるのに参考になる観点を提供してくれているように感じた引用したくなった次第。
前後のエピソード記述に目を通すことでより効果抜群なので、そこは是非ネットで本文を参照願いたい。
で肝心のところの(第一部を(更にその先で専門書ぬきでしかも短文なのにエピソードとともに重要な概念をすっと<心身に>入り込ませるような記述がさらさらっと載っている))引用。

(ここから引用)
"禁止と伝えなかったのは、彼の言っている内容はさておき、他に趣味もない(らしい)初老期男性の貴重なドパミンの発散先を奪うと、それこそ認知機能低下を起こさないか心配だったからだ。"
(ここまで引用)

施設介護を経験されれば直ぐに気づけるはずだけど、短期の場合、待遇悪いぞ!と思えるだけでおもボケにくい。
それでもそれが長続きしてあきらめさせられるように仕向けられ始めるともうヤバイ、ということ。
ひょっとしなくても恋愛なんて老人には無理という発想も間違ってそうだな、と受け止めた諸氏が大勢いらっしゃると思う。確かにそうだと素人にも思える。
ただし、(女性も男性も)老人諸氏はしっかり個性化していく死ぬまで。だからある意味頑固な内面が個性としてきらきらしていらっしゃるのが実際だ。
また思い込みの固定化といことも指摘できそうだ。
異性である相手はこうすればこう答えてくるはずだの良い方での解釈を譲らない。
で寂しい反応を得てしまうかもしれないし、ある近づきを得ても、その先でなによこのひとぉ!!となじられるようなことにもなりかねない。
今時の現役世代ならばそうなる前にハッキリことばで言い合う。
そして若いうちなら、出会いの機会は溢れているけれど、老人生活世界では、機会が有り余っているにもかかわらず出会って逸れ(反(そ)れ)まくる。頑固だからその通年と違う相手の所作は気に食わないとかが直感的早さで交感する。出会いの場を用意しても大抵は機嫌をだれかしらが損ねてその場がもたなくなりがちにする。
ゲームとか熱中できるなにかを工夫に工夫して場を持たせるくらいが華だ。
自分たちで、というのはできそうでできにくい場合が多い。
気の合う何人かでいつもまとまりがちに、住み分けがちにする。
世間がそうだ・・かもしれないけれど、そういうケースは少ない。
デイの集団娯楽時間のような演出でひきつけておく、ということもできることには違いないけれど、そういうヒトの状態にしているだけだから、認知症系の回避策にはなりにくいと素人観測では指摘しておきたい。
だから、ちょっと興奮できる熱中ごとというのは老人生活では貴重だ、と素人も同感できる。
それが単調に・・繰り返されて・・・が問題化しやすくする。
だから恋愛ごとは変化に富んで・・とシネマの『ニノチカ』を持ち出して別の話にしてみたい。

でも『ニノチカ』を持ち出さない今回は、先のように恋愛ごとも老人生活では相当に難しいだろうな、と諸氏には思わせておきたい。
ヒトの(イメージされ方で様々を生じるから乱暴な持ち出し方には違いないけれど)"生身"を承知できた老年たちならば、恋愛とかもほんのごく一部として、もっともっと有り余る時間を様々に熱中することを見出すことはかなり簡単なのでは・・など素人は想像している。
ただし、はまり易いわけだ。ヒトというのは。問題はそこだし、同じように、熱中できていることのかけがえのなさを結果的には認知症先送りということで余生の膨大量を満喫もできる。

*1
ハワード・ラインゴールド
『バーチャル・コミュニティ―コンピューター・ネットワークが創る新しい社会』
('95 三田出版会)