連載は続く~ SF 掌編『"高松塚古墳"発掘試行錯誤事例紹介番組の刺激を得て』編


自ら(ということの内実がなんらかの脈絡ゆえに生じ易い思い込みだったり、選び取った生き方ゆえの役柄発想が導く内容だったり、確かさを高精度に検証中の途中経過ゆえの押さえどころだったり)が今時の考えうる"左""中""右"となんらか縁深いことばによってつい説明し易い中味をどうお持ちだろうと、列島が日本を名乗ろうとして、中央集権の試行錯誤に入った頃をなんらか起点と見なすことをちょっとでも認めようとする意欲の持ち主諸氏ということで共通性を持ち合えるならば、列島の当時の住人のほとんどが、混血して世代を重ねた人々でさえその混血度合いが既に様々だったし新規にさえ年々やってくるような時代背景の中で、渡来系の人々だった事実を認めるほかはない。
そこには農業系の、それ以前列島を構成していた性別を問わずモテモテ系だが人数的には相対的に極端に少数だった先住系で出身もある程度様々な人々が既に渡来系との間でかなりの重層的な混血を経て、相対的に(既に農業系ということが由来する)膨大な数との混血の結果ということで、渡来系による列島の人々という実際の様を呈していたことを見逃すことはできそうにない。列島に住みついて後の農業生産生活が更に列島内での人口を増やしに増やすわけで、混血の混血の混血の・・とトンでもない渡来状況を生じていた。
しかも、半島では帝国的展開を(特に唐の時代ではそう見なせる)成して活発だった中国からの先進性を学びつつ心身化もこなしていたから、それが、世代に応じて、先進性の格差として絶えず更新もされ、それが断続的に列島へともたらされるような直結的伝播すら成してしまう半島~列島関係も生じさせていた。
つまり、ある年代に先進性と共に渡来して、影響を及ぼし一目置かれた世代が、遠い親戚関係っぽく制圧して屈服させて住みつく関係以外を達成していたとしても、また新たな世代が更に先進的に改良されたテクノロジーや物品とともに列島へ渡来してくるのだから、そういう親戚づきあいの連鎖、断続としての、列島人口動態を避けて通れない。
押さえておくべきは、つい明治維新以後を生きる教養から左中右を内心意識して、ことばを選びたくさせてしまうかもしれないとしても、列島住民は(人数的極端な優位性からして)渡来系が基本でしかも相当に地域によっては先住民との混血の度合いが強かったり弱かったりの散らかりがありえた、ということだ。
そして中央集権化計画「日本」出発以前込みで列島原住民性をことばとして使いたい諸氏を慮(おもんぱか)ろうとすれば一気に当時の列島の現状、各地で自立的テクノロジーを伝送改良して育てることもしていた集団性ゆえの独立性を見ないわけには行かなくなる。それは各地がバラバラに進展してもかまわないというリアルと密接だ。
列島をそういう観点で押さえて、その後の列島が列島範囲を保って1500年間継続してきたと見なしたいとすれば、余程の偶然でもない限り、今時の中央集権が持続可能にしている助け合いつつ刺激的に積極的に各所が活動も辞さないタイプの普遍的な一面を成していない、別の列島の様として描く必要が出てきてしまう。

諸古墳は渡来系の人々との関連から見通せる、ということに気づける。

山口勝氏が持ち出してくれたヒント(中心は中国だけれど、唐の時代の質的国際性が実(じつ)と見なせる)、列島の政治中枢化をめざす勢力がある時期から、猛然と果敢にその事業に取り組み始めた、対外意識前提の中味の解明、ということを、押さえられるならば、一連の出来事をそれなりに整理可能にする。

体裁が一応整っている文芸作品群とそうでないので区分できることもきっと探索にとっては貴重だ。
中央集権化事業に向けての準備だから、という押さえかたで、たとえばことばの作品群を整理できる。
なんらかの目的のために相当なフィクションを盛り込んで、ことばに馴染んですらいなかったより多くの渡来系混血の諸氏を啓蒙する事業。
今日に伝わる日本書紀がなぜか体裁上不備だ。その形で正規に持ち出されたとは見なしにくい。そこらが現代の研究筋に一応の追及のためのなんらかを提供してくれる。
古事記は体裁を用意できているにも関わらず六国史のような扱いは受けていない。
万葉集も体裁不備で、山口説をヒントにすれば、菅原道真氏が関わって再編修されて、やっと世に出た。今日からは、原万葉集部分から、どういう計画性での中央集権化事業出発だったのかを探る貴重な資料として、当時を探れる。
751年の懐風藻。とにかく急いでいた。そういう事業だった。
"古代ハイウエイ"は暫くして役目を終える。

ちょっとばかり戻って、装飾古墳。(以前、斉明期の石造物と九州のことにふれた)色彩装飾古墳ということでは九州が本場(数的圧倒)。
なにげに、九州のローカル勢力が"出しゃばって性質"を極力隠しきろうとしてきたにも関わらず、時に後の世にはヒント発信となりうる事例を当初の出発地には残してくれていると見ることが可能。
だからこそ蘇我氏とは?について更により具体的にフィクションをノンフィクションに編集替えする必須を指摘してみたい。
権威付けの為の様々なフィクションについてより精度ある解釈を求めることは大局を動かす事例について検証後でも充分に足りる。

征服技ではなく、系譜話を文字ことばをほとんど慣れることなく集団を営んでいた列島各地自立的勢力へ、一定程度の説得力を発揮させつつ文字資料ゆえの脈絡によっていつのまにか浸透させてしまう目論み、ということをいかに探れるか。
文字を使い慣れていない諸勢力という大前提を置くことで文字化した記紀ほかの中でのことば使いの隠しきれない証拠を探れること。文字をあたかも使い慣れているだれかたちであるかのように語ってしまうこと事態が証拠となる。実際に当時文字使いの方で慣れていた勢力が、その当時の考古的証拠として、どの時代にどう文字的証拠を残してきたか。時代区分での統計をとれば、即、大体のことは判明してしまう。
それらと記紀ほかの資料内容から推し量れることがより明確にできる。

少なくとも九州・近畿の考古遺跡、資料の年代確定について、現段階の精度を踏まえた再調査と確定が要る。未知か既定のだれらと関係するのかなど具体的に。
古墳テクノロジーとともにの渡来系世代とその趨勢に乗った先行して渡来して列島に住みついていた人々との絡みを古墳調査から学べないかどうか。

日本書紀万葉集の既存の"確定値"に引っ張られないように注意しながら、成立時期をより絞り込む必要と、資料内の製作者たちが抱いた計画内容に沿った記述を読み取れること。
無かった集合性を新たに形にする意欲を伴っていたはずの計画内容としての解明(その際、かつて山口勝氏が指摘していた対外意識の辺りを今日の探る根拠としてふまえられるかどうか試される。唐という集団の営みの実情の独特さ及び列島勢とより濃密だった中国系勢力という辺り[ここらはNHKシルクロードを作った関係者が既に気づいていたように交易系人脈が相当に関わるし、より具体的にもヒント発信していてソグド系がゾロアスター教で列島系は仏教の担い手でもあり交易業務もこなす人々のはず、ということになる。昔の仏の担い手諸氏は諸芸の達人たちで今日と違ってむしろ稼ぎ手でもあり(今日に置き換えれば)税を沢山納めるタイプたちと想像できる]を浮かび上がらせられるかどうか)。
当時の求心力を意識できた相当量の列島在住の人々は知らず知らず当時の東アジア圏を抜け出る規模での世界意識を共有できてしまえていたことなどは、既に山口氏がことばにしてくれているけれど、更に当初の出だしの時期の熱気として、しかもその後の列島史の中に知らず知らず浸透して今日をも支えているかもしれない世界性など探れないかどうか。
そうやって大げさに見えるしかない世界性を人生にするしかない世の中とのかかわりを持ってしまうある種の人々を忘れないようにしながら一方で、土地土地と会話しながらだからこそ可能な熟練した生活テクノロジーとともに今日までありえた生活の形の変遷という実際、リアルを、区別的に炙りだしながら、しかも、人的交流のあり方の変遷ゆえに巷での生活人が世界性との交流抜きには発想が成り立たない人々も混雑的に多々生んでしまう近代への過程というような理解も可能になる。

はじめから全体把握するクセを身につけていてそれでもって事象を探れるだれかたちだったら苦労はないのだけど、要素の持ち方を膨大な努力によって工夫できて、なんとか要素合成手法によって足り無すぎなヒトの能力(そのごく一面に限って相当な力量を発揮する計算機に今はハッタリ程度に驚かされているが、限界にも本当の所は気づいていて経済産業政策意図を一応優先させている時期。実際、翻訳の力量は各国版で英語と同等になれば相当に母語的な受け止め可能ということで使い勝手は良いし、その不可抗力のヤバさとともにのところを忘れないように)でおぼろげな全体像に迫る個別対処の制約をことばとして意識できるようになっている昨今、だけど全体を一挙に把握できて個別性に対処可能な想定的だれかを軽く見なす傲慢をつい潜(ひそ)めてしまう現代のヒトという困ったあり方をできれば早めに反省できて、事象と向き合えるようにできるかどうかも、時代の制約を踏まえての未来対処には不可欠なはず、と素人式にまとめたい。

 

ちょっと付録
金木犀(キンモクセイ)が二度咲いた 9,10月。そして近くの用水に大量の鯉が上ってきた今年の春以来の秋、少ない水量の水路で顔が丸見えだ。初秋だからルコウソウが咲き乱れ(ただし実際のは普通ので当方がイメージするのは羽衣ルコウソウ(葉も花びらも特徴あり)の方なのですが)・・・。ということで川柳。

金木犀
今、鯉の顔
ルコウソウ

お粗末・・・・・。