連載は続く~ SF掌編『日本チームとクロアチアチームとの試合を素人が好き勝手評論』編


 サッカー好きな若者たちにとってはとても刺激になったワールドカップの日本チームの試合の数々だったのでは、と素人老人的には今思えているところ。
 特に最後になった精度を有り余るほどくししてくるクロアチアチーム相手の試合での、日本チームのポジションや場面ごとの働き方・機能のさせ方とかをサッカー好きな若者(小中学校くらいからその上の年齢層)なら具体的に個々のプレーを参考にしていたと思える。
 シュート→ゴールのシーンでそれを誘う連携のところを事情通諸氏はしっかり押さえているけれど、紹介される映像の短いシーンではどちらかというと端折って、ドラマの主役中の主役の役者氏のみが注目されがちと察するけれど、ドラマでもまったく同じなのだけど主役を張ってくれる役者氏はもちろん必須だけど、脇を固める役者諸氏こそが演技とかキャラ作りとかが問われてしまうくらい大変な役柄だったりする。ここらは、CM採用云々で稼ぎに通じるとか通じないとかでの評判とは関係なく、ドラマが色々な媒体を介して大きな商売になってしまうに当たって、実質を支えてしまうあたりでもある。主役につられて当初の売上が伸びることもありがちだろうが、その後の支えはドラマの中身次第で主役のキャラに相乗をしょうじさせる脇固めがドラマを見ていて人が様々に反応してしまう質の所を揺さぶっていることを作りて諸氏は当然熟知している。
 サッカーの場合はそれ以上にとことん、連携プレーの技の連なりが、決定的な結果のシーンをもたらす。
 たとえば、この試合からは離れるけれど、バックスの板倉選手が浅野選手へ適格な回転と距離のパスを出している。そこらをサッカー好きな若者たちなら、そしてバックス志向のだれかたちなら、確実に自分もそのプレーを大試合の時にこなしたいと思わせたはずだ。
 相手チームが押せ押せの時、この試合でもそうだったけれど、シュートとかゴール前のプレーで評判の三苫選手など、自らが足技を得意としているので、相手の動きの読みもそれなりに適格性を持つということで、体の入れ方も上手な方なので、それなりに奪うような場面を何度も見ることができてしまう。このことは、相手チームにとってその次の展開を封じられてしまうことに通じるので、テンポの継続性を断つことにもなっている。
 ここらも、足技上手な若者たちなら共感できていると想像する。
 バックスでも好守備の酒井選手は、体力に自信があるのか攻撃でも活躍できる足技を駆使できる。
 多分、これからの日本チームに入ってくる若者たちは板倉選手や酒井選手などが当たり前のバックス先入観から参入してくると予想でき、この試合のクロアチアチームとの試合でならバックスがそれなりのボール扱いをしてくれて、それを支えに中盤やフォワード陣がそれなりに活躍しやすくすると予想できる(ボール奪いプレーや、相手布陣のかき回しとかを経て、ほんのちょっとバックス陣のパス出しとかのヘマを心配しないで済む分)。
 素人観察からだと、攻撃に向けての工夫のパスにちょっとな、と思えた遠藤選手は守備に限ってはそれなりに奪ったり止めたりを見事にこなしていたけれど、この試合では、前半に攻撃に向けたボール扱いでもそれなりに確実な連携へとつなげることをこなしたりで、遥かに中盤で活躍していた守田選手のお株を奪うようなシーンも見せてくれていた。
 ここらもサッカー好きたちは、得意のポジション、やりたいポジション前提に見ているはずなので、サッカー好きをより嵩(こう)じさせていたのではないか。
 蹴り力が凄い堂安選手へ瞬間、ボールを提供できるヘディングでのボール奪いを果敢にこなして(イエローにならないプレー!)いた伊東選手も三苫選手に劣らず、ボールを奪ったり、攻撃方向を制御したりを明確にこなす選手だ。
 ただ足が速いだけではワールドカップを目指すわけにはいかないだろうから足技も若いころから身に着けておこうというような動機づけになってくれそうだ。
 ペナルティキック合戦はキーパーとキッカーとの相性で大体勝負は決まってしまうので、試合後のインタビューでだれかが言っていたように、試合で決めた方が無難だ。
 南野選手や三苫選手は転がすタイプの強い蹴りをしたのに、なぜかキーパーが受け止めている。ぴったり相性が合ってしまったケースだ。
 欲を言えば、南野、三苫両選手は足技に長けたタイプだから、ゴールはあの広さじゃなくて、狙ったピンポイントのどこか、たとえばゴールの両サイドの上の角の僅かの空間を狙って入れる練習とその慣れを普段のことにしておいてもらいたくなる。そういう慣れを身に着けていれば、とても緊張圧が加わるような状況でもゴール全体が見えてしまうというより狙ったポイントがぐっと視野に入ってそこ狙いでの強烈なシュートをごく当たり前のように放てる。
 三回目の失敗を蹴った吉田選手は大ベテランだ。だからこっそりと言ってしまうけれど恐らく、既に2失敗対1失敗で、クロアチアチームのキーパーにとっては絞り安い傾向を生じさせていたので、三本目の失敗がなくても負けの可能性大。現に、絞り込みにくいコース判断状況での権田選手にとってはきわどく取り損ねも含めて、大変難しくなっていたのだから、吉田選手は失敗選手への心負担軽減の気持ちがどこかしらに働いてもおかしくなかった。
 ペナルティ合戦はサッカー試合の内だけど、やはりキーパーとキッカーとの相性で勝負が決まるような冷や冷やはさせるけれど爽快感を観客全部にもたらしにくい。
 くじ引きで決めても同じと素人老人的には指摘したくさせる。冷や冷や感を待っているファン諸氏もいらっしゃるだろうから、そこは、押し付ける気はない。
 チームつくりとして、どういう連携が可能でボールが運ばれてゴール前やゴール周辺でのもう一押しが可能になるかなど、想像できるけれど、そのためのポジション固め=選手の特徴の押さえ方が、構成を決めてくれそうだ。
 この段階まで現役の日本チーム(選手やスタッフ)が具体的に(試合運び、プレーの数々、メディアを通じての諸々、ファンの活躍)イメージさせてくれているので、これからの若者たちにとってはそれを踏み台にできて、しかも具体性を帯びる塩梅だ。
 素人過ぎる子供たちのサッカー噺をすると、バックス陣がそれなりに安定的にポジションをこなしてくれていると、隙ありで相手のボールを奪うプレーがしやすく、更に、取ったボールを運んだり、パスしての展開期待などを、バックス陣の近いところでのパスミスとか、ちょっとした失敗をフォローするための逆走をかなり省けることになって、一気の攻撃局面を作りやすくしてたような、といった感じ。
 サッカーだとよりわかりやすく、ポジションとか役割分担とか、自発的で発想が冴えたプレーとかの連携こそがその先の展開を生む、という辺りを試合の中で、ファン諸氏が会得もできるので、そこらを含めた一連の流れの凄さっぽい解説も沢山放出しても太太気がする素人老人だったりもして、ワールドカップは未だに継続中で、目が離せない。
 日本チームはしっかり休んで、次の流れにつなげてもらいたい。
 (特にこれからの若手選手たちの)もてあますくらいの素質を精緻に使いこなせる方へコーチ陣が誘うことも、各選手の自信につながりそうだ。こけるよりも体の入れ方工夫で崩れずにボールを保持したりつなげたりする力量の開拓も試合を盛り上げる。