連載は続く~SF掌編『外は寒気、でも』編




給料に見合った仕事だけすればいいじゃん、とか、その類のことばを使って観念を肥大させてしまう仕事場であると、なぜかちょっとした環境を整える手の仕事をお互いが敬遠しがちにして、ほこりがたまり易くなる。違うほこりでがっちり状態であったりもする。
照れとかを意識しないで、ごくごく普段の発想で庭掃除したりの延長で、近場のごみくらいは処理しているっぽい動態であるならば、その土地はかなり住みやすい、と想像できる。
そこに個々として住んでくれて、自立的だとそうなりうるし、ある種の牽制が働いてしまうと、放置させがちにしてしまう。
長年そこに住んでいかなる結果的集合の巧みを発揮させてしまえるか。は長年ゆえに育ちやすい。そういうヒトのくせを想起しておきたい。
漁業権をめぐって長年そこに住むかどうか当てにはできない、つまり会社的利用に委ねるタイプの昨今流行りの発想での暴走を下地にした”法改正”が目論まれているそうだ。FMラジオで以前はばくち場を扇動していた話者がその回では、事態を知ろうと慎重に聞き役をこなしていた。
雇用機会をごくわずか新規に生じさせるとして、それと並行させて既存の雇用機会を膨大に失わせる性質の事態変更であること。
安さと大量のセット発想だから、追々賃金低下圧として本音の部分が露出してくる事態変更であること。などこれまでも改革とかなんとか良いことのように触れ込み上手で、実はのところを想像に任せて強引にやろうとしてきたことと軸は一つ、となる。
きめ細かく、日々のように緻密に実際的に持続可能なやり繰りができる人々の集団性(これぞ歴史性、積み重ねゆえに可能になっている不思議だけど当たり前でもある事態)をこれからの為に工夫して温存と自発的変化に委ねるのか、それを無かったことにして新規の別の会社発想から一掃してしまうのか、そこらが問われているし、現地の人々だけでは少数で心配、のようだった。
不足の経済の営みにするのもヒトの営みとしては改良したくさせる。一方で、作りすぎることを前提にしかも給料を下げる圧を働かせがちにする気持ち上よろしくない手法を蔓延させられてtも実際的生活感覚からして、拒否反応を生じさせやすい。つまりそんな気持ちを引きずりながら仕事人生を生きる人々が構成する集団の営みがうまく集団性を発揮できるはずがない。
市場信仰、は多分、本当にそう思い込んで研究者として進言してしまう人々を生じさせて来ていたと思える。その末路が巨大会社による貿易まで含めた巨大経済の営み構想だ。そういう失敗にわざと踏み出す必要はない、というのが素人の立場だ。そういう大失敗に踏み込んで、そこから次のイメージに乗り換えれば、もうそういう失敗はしたくない発想でオルタナティヴを可能にする、とか言いたい現状惰性推進派とは思うけれど、それはそうしないで済ませられる迂回路と素人は押さえている。
それでも個々性において無駄とも思える迂回をしながら観念肥大の内部(外部とも流通させて)を育ててしまうのがヒトと推測できるので、試行錯誤の個々性を尊重し合える条件整備も大事には違いない。ある程度のオープンとか危険物扱いへは特殊に厳密な扱いを用意するとか、些末化させて事務を膨大に生じさせてしまう逆転現象は避けるようにして、集団の営みを工夫するくらいの大雑把な理解は多くができているのではないか。


介護現場は人生後半の就職の場であってもいいのでは、と投げかけてみたい。
わがままなやつらにどうしても脅され続けるタイプのオスたちにとっては、一時で気付けない若作りのメス諸氏に面倒をみてもらいたいと思い続けてしまう場合もありそうだけど(現場経験からは9割以上が実際の介護を経験して若さ信仰は迷信と自覚されていると察する。それくらい経験的技量、技能がものを実際に”言う”)実際の接し方が大いに介護と直結するから、実質年寄りが大いに効果を発揮する現場と率直に指摘できる。列島で育って気質を直観できることがいかに大切で、貴重か。
年とっても、世話の押し売り体質を抜けきれないだれかたちもきっと少なからずいらっしゃる土地柄とは思うけれど、大半の諸氏は列島気質の巧みを身に着けておられると察せられるので、文句なく、介護に向いている。しかも介護現場での場数経験がその後の人生に必ず役立てられる。一挙両得だ。ただ制度上と資金循環に働き掛けられる脈が無関心だったせいもあって、給料は期待できない水準で推移中だ。ここらは我慢してもらわないと、愚痴っぽくなるだけだ。介護の質にも影響させかねない。先のように給料に見合った仕事とか発想しだしたら、もうそれこそ下しか見なくなる。なんてひどい仕事だ、っぽく愚痴るようになる。
そうならない前提で、お年寄りにとっての最適(介護のための技能は元気な若手が開発し続けていて、そう力が強くなくても軽々とというほど楽ではない体格相手でもなんとかなるくらいにはなっているのでご安心を、だ)の仕事場じゃなかろうか。
以前もふれたように、既に活発な女性たち、家庭持ちで忙しい主婦層が、短時間を介護に使っての応用生活モデルを試行中だ。もちろん、フルで働いてくださる本当に貴重な人々も沢山おられるけれど、それは大変なことだ。だから無理のない働き方として紹介できるとしたら、列島気質での交流を心身で直観的に可能に育っている年寄り連中が、数年間程度でその間を日に3時間とか4時間とか働いてくれてそれが数珠つなぎになって一日が構成される、これまで突然の人手不足(急での休暇とか、必須で避けられない子育てとか)を簡単にクリアできてしまう。その代わり、お年寄りだからって、体の衰えをそのまま放置するような生活を続けることはできにくくなる。一応、その間、だけど。少しは元気に保てるようにしておく必要がある。免疫系はそれなりに(微量構成物を特にの)栄養さえ摂っておけば、経験的にかなりの”頑丈な”体になっているのが年寄りだ。
低賃金に甘んじていただければ、それなりの人数も常に雇って置けるので、話し相手っぽい職場も可能になる。これが必須であるにも関わらず、多くの列島介護現場で常の隙間のない配置ができにくい職柄だったりするはずなのだ。わかってはいてもそこまで費用的に無理、であきらめていた現場・経営層に僥倖、となるのかも、なんてかもをつかってしまったが。
それと、介護施設建築物、福祉用具は未だ開拓途上と率直に指摘してしまおう。バリアフリーは当たりまえ?そうではない。もっと関心を寄せておく領域ありだ。
ここらはとにかくコンペとかが盛んに動因になって、若いとか年寄りとかの建築家のアイデアをどんどん送り込んでもらいたい。いくらでも改良の余地ありだ。ある程度限られた予算、ということも相場作りの合意経営が要る。その前提に立って、モデルケースでの通用しやすい介護施設の一般形のようなのをだれもが発想の踏み台にできるように、最善のタイプをいくつか提供しておく。もちろん、斬新版も試される。
その一方で、自宅を多くが持っている現状からそこを拠点に生活し続けるしぶとい年寄りを子供のころから育てられる発想の編集も早急に要る。
たまたま列島では平均寿命がやたらと高くなって、人生100年に近い姿が継続している。これこそ幸いだ。現場で働きたい年寄りはどうぞ、だし、働けなくなって、か、自発的に施設生活を選ぶ諸氏もおられよう。そうではなく、自宅で、賃貸住宅でずっと暮らし続けられるものならとお考えの諸氏(老若女男)も大勢おられることだろう。でも、そこらの気持ちががっかり出ない方で人生晩年を過ごせるくらいに、数年のうちにはしておきたいものだ。





君:そうなってほしいわ。
私:どっちで?
君:あなたは?
私:そう、くるか?!
君:そうよ。あなたは?
私:う・・ん。
君:直ぐには答えられない?のかしら。
私:いざ、自分がどうしたいか、となると、・・・難しい、よ。キミは?
君:自宅で子供に面倒見てもらおうかな・・・、なんて。(物まねよ)
私:キミにしては自信なさげ・・。その前に、ぼくは介護現場で働き続けたいかな。
君:年寄りが最適、な、わけ、ね、あなたの考え、だと。
私:経験から入居者のプライバシーを守ろうとする壁になる発想をごく普通にできる。それと相手の一種のわがままの受け止めて、スポンジ役もそこそここなせる余裕を多分持ち合わせてる。そして近づきすぎない程度の心得も、これも多分普通に発揮できそう。
君:理想的すぎない?介護していて、やはりいらいらいしてしまうのでは、ないか、しら。
私:そういう心配も確かに持っていた方がいい。でもそれって、体力勝負のような状態をたまたま招いてしまって、四苦八苦がそう誘導してしまいそうにも思える。年寄りの耐性が機能しにくい場面。
君:なるほど、そうね。そうよ、ね。年寄りは、確かに、無理に我慢してるんじゃなくて、我慢強いように、若い方からは見えるもの。
私:若い?方・・・。
君:なによぉ!そこじゃないでしょ、大切な、こと。
私:同じ冗談は、頻繁に使っちゃダメだね。
君:そうよ。面白くもなんとも、ないわ、よ。・・!少し、症状が出てきた時って、再話がつい出てきちゃうんじゃなかったっけ。あなた、それ、じゃない?!
私:ほら、キミだっていつものパタン、そのきつーい冗談。そぉでしょ。
君:冗談ってわかってたら流して、肝心の話を続ければいいのにぃ・・・。
私:そうでした。些細なことにこだわるのは、やっぱ年取ってるからかなぁ・・・。短時間集中して働きたい、ね。半日、3時間程度。週に2日か3日。
君:そんなに都合よくいくかしら。良い職場って噂が広まれば、働きたい人、沢山集まってしまうし、逆に大変な所なんて噂がたったら、あなただけで、週に4日とか5日働いてなんて暗に誘われるんじゃないの。
私:なるほど、わかり易い。・・キミに、見てもらおうかな・・。
君:なによ、どさくさ。なにか、言った?かしら、今。よく聞こえなかったわ、よ。
私:軽く食事できるカフェ、行ってみない。
君:ずるい、話題そらした。・・でも、いいっかな、お腹すいてきたし。
私:でしょお!!
君:強調しすぎぃ。
私:ごめん、・・とにかく散歩、ね。
君:そぉ、散歩、途中で、お食事とお茶して、その後は・・・。
私:映画じゃない、わけで、そう聞かれても、私としては、困る・・。
君:あのぉ・・・。何か、勘違いして、受け止めてません?
私:一応、わたしにとって、都合のいい方で・・・、くっくっ、くっ。
君:とにかく出ましょ。散歩、よ。