連載は続く~ SF 掌編『九州古代を調べ尽くす巨富はどなたか』編


将軍役割を(奥義理解の下)伝承できてきた人脈とそうではない人脈ということを避けられなかった列島事情、という辺りをめぐる学者、事情通諸氏の発信も大いに期待できる。
将軍役割はあくまでも将軍役割に過ぎない!
だからそれを巡る内輪のもめごとはありえても巷の人々を巻き込んでしまうような争いごとはそう想定し易い事態ではないはずだったと素人には思える。
でも脈絡を理解するところからは遠い人々をも巻き込んで時代は移ろってきた。
列島の継承人脈は信じられる以上に多分・・真面目な諸氏だった。
東夷なりを建前上は想定して、そのための組織の将軍だった。
ずっとやり遂げようとしてきたし、建前を詳細に伝承していた。
だからエミシをめぐる内乱のような残酷な事態は避けてきた。
そしてそういう将軍でいいような考え方を育て継承もしていた、と想像できそうだ。
列島の中央集権はそういう古代中国への忠誠のしくみと、新たに生じた中央集権の営みを加えて継承することになる。担い手は、リアルな記憶としては天智のころの人々や出来事くらいまでで、それ以前のことは文章の記憶として伝承されれば良しというタイプだったと想像したい。
リアルに思い出されるまとまりについては、かなり慎重な記述になる。それ以前はかなりアレンジして作り物にできる。
ただし、平和的中央集権を志向・試行錯誤していくために、各地の有力層にとって説得力が効くタイプの作り話にできることも欠かせなかった。
とにかく天皇という新機軸を作ってしまって、それとの関係で末代においては文字から想起させる。
思えている派の人々でも列島各地に精通しているわけがないから、わかられる範囲で作り話とリアルを工夫したはずだ。
当面は覚えている人々へ天皇をいかに馴染ませられるか。強引に従わせる手法以外を選択しての事業だ。
将軍役割の事情も下支えにして、ひょっとしたら列島中のハイウエイ建設予算に説得力を持たせた可能性も想像できる。ただし、文字資料として記録には残すけれど、実際に征服してどうのこうのを目指されるわけではなかった。あくまでも古代中国向けの役割表明の都合上の記録と、内輪の事情として列島各地の状況を知るための拠点作りという実際的目的を並行させる。
ただ、戦争に負けたそのなにがしを怨念のように心身化している人脈も桓武政権の時に復活している。そして平氏、源氏と将軍職を担うことと直結し易い人脈を生じさせる。
将軍役割の枠をしっかり伝承できただれかたちと、脈絡を別にして想像逞しく将軍役割を勝手に使い始めるだれかたちとが混ざり合って時代は動き始める。
確かそうなことは藤原氏における仏教寄りでの伝承脈と同じくする天皇系の仏教寄り脈すらが、その伝承の精度をずっと保つことができたかどうか不確かな事。
世の中が乱れてそれが夷に当たるかどうかは専門家諸氏に調べてもらうことにして、"敵"に当たるだれかたちに向けて将軍役割組織は動いた。乱れた間は、将軍をめぐる人々が表だって、藤原氏も綱吉の頃までは後の将軍になる人々めがけて仏教系発想の伝承を試行し続けた。
しかし伝承経路がもしも不明確になっていたとしたら、とりあえず南蛮系発想からの働きかけも相当に影響している。そこらのこんがらかりのほどきも専門家・事情通諸氏に取り組んでいただけるとありがたい。


もしも列島に相当に裕福な九州在のどなたかたちがおられるならば、廃寺とかの類をまとめて年代と規模などかなりの精度を目論んで調査にとりかかってもらいたいものだ。
それと、いつ、どういうやり方で倭から大倭へ移動したのか、その時期と内容を調べつくすこと。
既存の歴史的観光資源にプラスして、地味に扱われていたか忘れられていた歴史的遺跡群がやたらと眩(まぶ)しく輝きだす。
列島各地にその時のヒトならではの活発な動きを読めるようにもする。
考古遺跡からもきっと多くがわかっているだろうけれど、現象のなにがしを発見して、それゆえの可能性、発見前の想定の動きを文字にできるようにする。

古代中国の科学が用意し、工学的に使える測量法を通用させていたのだから、倭の延長と新規の大倭(大和)の連環として、移動を抜きには語れるはずが無い。
降伏して許されて・・という脈と(巷の)"市民"をも巻き込む残党による争いを辞さなかった脈という問題が後へ尾を引いている。心身にしこりを持てば、ずるがしこいだれかたちからは誘導され易い。そういうことは長い歴史のなんらかを生じさせうる。

そして年代測定を緻密にするし、それが可能になる材料に応じた測定手法の開拓の問題。
ここらを遅いとしてもこなしておけば、やがてであっても、早めな解決であっても、確実さに答えてくれる。
これらには費用がかかるし、集めて、民意でよりは、だれかたちが目的を明確にして成したほうがより相応しいようにも素人には想像し易い。