連載は続く~ SF掌編『2試合みた素人老人の短い感想』編


 4月の7日と10日早朝、ネット経由での生中継をしてくれた Shebelievecup 女子サッカー試合を見てしまった。
 ごく近い将来を見通しながら世界の指折り各チーム女子サッカー関係者はご覧になっていたはずなので、日本代表チーム=なでしこチームがその実態のままを見せることを避けて示せたとしても、実力のほどは素人老人観察の範囲でも伝わってしまった可能性ありと見た。2試合目のブラジル代表チームもそうだったけれど、ごく主要な選手に限らない出場したらそうなるタイプできつい圧がかかってきそうなことを予想させる。
 ただブラジルチームとの試合での審判氏は危険プレーについては厳格に反則を取っていたから、その水準で審判してくれる試合でなら、怪我系の乱暴プレーについてはかなり事前から抑制を効かせられそうだ。なでしこチームにおいても、ちょっとかっかきてとか、集中の方向を間違えて反射的につい・・のタイプのプレーは簡単に反則を食うことになりそうだ。
 審判諸氏による制御を踏まえたうえでも、上手な選手は乱暴ではないタイプからの圧の行使を巧みに使い分けてくるから、それなりに見ごたえのある試合は期待できる。
 そこをまずはかわして、ゲーム的仕掛けの応酬まで展開できる個々の力量と連携とが機能してくれるようだと、普通にサッカーとして面白いゲーム展開を堪能させてもらえる。
 とはいえ、潜在する力量がそうだとしても、明らかに一敗と引き分けの試合しかできていない。
 本当に力量は確かなの?と当方同様の素人諸氏は問いかけてくる。
 でも素人でも老人だとなんとなく気づけたりしてくる。
 個々の力量と言うことでは、なでしこチームは際立っていた。
 ブラジルチームにもそれは言えそうだ。
 ところが連携となると、ブラジルチームほどではないけれど、ボールがまったくつながらない。ブラジルチームが先かなでしこチームが先かはわからないけれど、それが可能になった方がパリ五輪での試合では抜群の結果を残せそうだ。もちろんスペインチームの仕上がり具合も気になるところだ。
 ということで、素人老人なりに気づいて指摘できそうな辺りを2,3ふれておきたい。
 まずつながらなさについて。
 AFCでの若者系チームの時にあれほど積極的だったDF古賀選手が不必要なくらいバックパスを多用して場面の改善には使えていなかった。代表チームでもベテランチームに属するとそういう消極策、逃避癖が癖になりやすくなるのか?そこらは問いとして投げてみたい気がする。
 古賀選手がそうだから、不要なバックパスを多くの中堅ベテラン選手が使いこなしてしまう。そしてそれは状況を改善するためのものにはなっていない、からこそ連携は途絶える。
 たとえ短いパスでも状況判断から素早いのを出す必要があるにもかかわらず、確実さを思ってかちょっとだけゆるめにだして相手チームに取られてしまうケースも頻繁に見ることができた。長短の素早い、鋭いパスを出しあえて、トラップ完璧ができるなら、それ自体がファンを密(ひそ)かにわかすことができる。多分、USでも女子サッカーを見慣れていると見え、ちょっとしたボール扱い上のフェイントとか連携のいいプレーにはわいている(音声からわかる)。
 その2回程度の連続でも場面は展開可能。3回目の時には状況によればスペースすら新たに開拓出来ている可能性すら想像できる。
 早く鋭く出すパスは今時の(相手チーム選手からの)圧の素早い行使への対応としても有効だ。しかもそれを適格にトラップしてすぐに次のプレーにつなげられる(持ち前の)力量を生な試合の進行形として表現できる気持ちの準備も要る。圧に慌てているようではいいプレーでファンをわかせることはなかなかできそうにない。
 いつでもパスを出せる誰かたちを見通して置けるくせが必須。ここらはBSテレ東のサッカー応援番組の最近ので世界各地をバックパッカーとして歩いた経験ももつ高校サッカーの監督氏がずばり指摘されていた。自分にボールが届く前に勝っとけよ!!と強烈だ。 クライフ氏健在のオランダチームは多分クライフ氏依存が濃いチームだ。今のなでしこはとびぬけてだれもが上手(うま)い。と言ってそれぞれに得手不得手も持っていてボールキープはどうも・・・という諸選手は多めに目立つ。ここらも短期に工夫して、ほんの少しだけ余分にキープしてその時間に助けを呼べるとか、自ら事態を変化させてしまうとかできるようにするだけでも、個々の力量を発揮する場を生じさせることができるようになる。
 状況を改善できないパックパス系の切羽詰まってとか余裕たっぷりなのに、で出すパスが追い込まれ状況を生じさせて、連携による攻撃モードをなかなか誘えなかったのが代表チームの最近の状態と素人老人には見受けられる。そこに先の遠慮がちのパス出しが重なるから、力量発揮の連携パタンを応用できる場面そのものがなかなか出てこない、ということになってしまう。

 ゴール前のプレーについてもふれておきたい。
 期待の宮澤選手が試合慣れしていない状態のようだ。反応がいまいち。
 実践的な練習のなかでゲーム反応勘を短期に回復以上にもっていくようなことが大切な感じだ。自力の状態であれば、なんなく軽くフェイント一本でゴールを決めていたと素人老人は憶測する。
 そこへパスを出していた藤野選手も、代表チームとなるとゴール前のプレーでは快調な時もあれば、消極的にもなると波が目立つ。
 大半のプレーを見る限りではベレーザチームの連携とも関わって相当に鍛えられた状態を保っておられて、かなりの切れのいいプレーをこなされている。
 だったらその現状の体力の可能性にかけてゴールまでも挑戦的な試行錯誤に打って出てもらいたくなる。二試合目でのゴール前の駆け込みの時でも、蹴りこむのも一つだろうけれど、身体能力の今に期待して、トラップで瞬間ストップのちの方向転換でキーパーを外しての楽々ゴール、程度のことは、女子身体どうしだからこそ魅せる場にできたかも、など素人老人的には妄想してみた。男子サッカーだと数mダッシュとかをまじえたフェイント技や強引なキックとかの演出が要るかもしれないが、女子ならば、筋肉特性から、その場での機敏な動作による変化、フェイントの類での対処でFWとGKの対峙の場面が生まれそうだ。その後のシュートも強弱、緩急色々、多彩な手法が可能と見る。
 ゴール前シュートモードを瞬間選択したなら、シュートコースの空き具合を瞬間察知するか事前のイメージから、そのままシュートの選択肢、フェイント応用からのシュート選択肢程度の2,3の選択くらいは瞬間イメージの中で、反射的な動作を重ねる気持ち的余裕と機敏さをくせにしておいてもらいたい気もする。
 中堅、ベテランFW陣はそこらの余裕を今から育てるわけにはいかないのだから、周りのFW,MF陣が状況を作って誘って、そこへパスを出すくらいの芸当が必須だ。そうして出されたパスへの(キーパー正面ねらいとは異なる)精度の良いシュートはお手の物なのが、現状の中堅、ベテランFW諸選手だと素人老人は見ている。
 状況を改善しないパックパスを受け取るDF陣は大変だったと(素人老人的には)思うけれどそれにもかかわらず、1試合目よりははるかにミスが目立っていない。
 中堅・ベテラン選手諸氏のくせとしてゲーム展開上解決してもらいたいタイプの問題としてはパス出しに困っている選手が要るにもかかわらず率先してパスコースを示すための速攻の動きをしてくれないことだったりする。
 たとえば、相手チームの選手を引き寄せて(だから状況に変化を持ち込む試行になる)からパスを出そうとしているDF石川選手の様子をしばしば見ることができるけれど、それにいつでも応じられるだれかたちがいてくれないと困るわけだ。気ままで、できる時もあればできない時もある、という状況はありえない(と素人老人観察的には)と言ってしまいたい。慌ててパス出ししてしまう中堅、ベテランDF諸選手は今時の早めに圧を加えてくる相手チームの連係プレーに、切羽詰まった慌てたパス出しでしか応じきれないくらいに追い込まれがちだ。
 でも迫ってくるなら、それこそチャンスにしてしまうのが、今時の若手サッカーを習得した選手諸氏だったりもする。
 相手のスピードを勘違いして、持ちすぎて、ゴールまでで致命的にボールを奪われるということも、中には見せられたりするけれど、そこらは場数を踏んで、より大胆にチャレンジして応用技にしてもらえる。
 いつでも動き出し可能なウォーミングアップ状態を90分間保てるくせを、中堅、ベテラン諸選手に期待したい。

 GKは次世代をしっかり育てることができているのかどうか。
 ベテランが素晴らしすぎて、試合出場機会を得られないまま次世代交替の時期を迎えることも実際的には可能なのだろうけど、なにかしら工夫があるといい気もするのが老人の愚痴だ。

 速いボールのやりとりに慣れている状態。
 ほんのちょっとボールキープの力量を養っておく。
 パスコースを動いて示すことがくせになっている。
 ゴール前ではフェイント使いほか2つ3つ程度の選択肢を瞬間技にしておく。
 多分だけど、武術に不慣れなクライフ選手は西ドイツチームの選手からのしつこい寄せをまったくかわせないままになっている。武術は相手の体重移動の動作を精確に見極めて瞬時の(相互の関係性において)動作で応(こた)えさせる。ここらを身につけて過剰なまとわりつきへは、瞬間引くことの反応系を圧してくる相手に気づかせるという手もある。やりすぎるとかタイミング間違えると自らの力でこけるかも・・の辺り。
 海外出張組の若手選手はWEリーグで圧への体力・技を磨いた若手と違って、そこらは無頓着のままな感じがしたが、実際どうなのか。そうだとしたら、早めに対応可能なのかどうか。WEリーグの試合での中堅・ベテラン選手諸氏によるゲームでの圧の激しさは若手選手諸氏を相当に鍛えてくれているようだ。後は怪我にならないように審判諸氏のコントロール次第のような気もする。

 中堅・ベテラン諸氏とは言っても40代の諸氏はごく少なくせいぜい30代の諸氏なのだから、ということでもう一つ余計なことを指摘してしまう。
 30代ならば、未だ未だ改良可能、と素人老人は見る。
 現若手選手諸氏のパス連携はシュート機会のところまでかの若手ワールドカップ世界一のスペイン若手チーム相手に、ボールを運んでしまう世界一クラスのことをやってのける力量を世界に発信済であることをまたもやことばにしておきたい。
 そこで自足とか自慢話にしてしまうと話はおしまいになってしまうけれど、現にWEリーグで現役の選手たちとして活躍中なのだからたのもしい。
 その魅せる女子サッカーを更に磨きをかけてくれている最中なわけで、サッカーのそういった連係プレーについつい惹きこまれがちな素人老人としては、色々な場面で、できればワールドカップとかの舞台でもその先を見てみたいと勝手に期待してしまう。
 その若手の連係プレーに中堅、ベテラン層が関われないはずはない、と素人老人が言えてしまうのは、実は、口外できないことになっているので、具体的にはことばにできないけれども練習を通じて観察できた範囲では、やはりプロということで、個々のボール扱いの力量は凄いとハッキリことばにできる。
 なのに、試合ではどうして・・・、となるのだけど、先のように、体が覚えこんだ常識の辺りが若手選手諸氏は練習から動いてパスコースを作ることに慣れているのに対して、多分、中堅、ベテランの選手諸氏はそういったくせまでは身につくタイプの練習をしてこなかった可能性大と推測する。
 だったら、そのくせを短期に身につけるだけですむじゃないか、と思えるわけだ。
 大体、ヒトというのは同じことを繰り返すのが苦手だ。それをこなして職人になるのは達人諸氏ということになる。達人クラスでなくても職人の年月が常人超えの技量を身につけさせてしまう。マニュアルで少しだけ真似事はできるようにするけれど、精度の持続性を保たせるには元の話に戻らせることになるわけだ。
 普段の練習がだんだん同じパタンになってきてついおざなりの繰り返しを中堅、ベテラン諸氏ならでは、ということで自ら油断してこなしてしまう。するとそれが実際のゲームの中でもうっかり失敗の方で出て・・ということも起こってしまう。
 老人的観点からだと、ヒトのそのくせへは、いつも同じパタンの繰り返しのように受け取れる場面がきたなら、そこに自由裁量の部分に対して、自らの発案でチャレンジの要素、何かしら試してみる要素を持ち込んで、いつでも新鮮なチャレンジの要素込みの練習パタンにしてしまうことでいくらでも飽きないトレーニングにできる。するといつでも同じパタンのプレーに精度を保てるようにする。うっかり油断の凡プレーの持ち込みを避けさせてくれる。トラップだって無限のパタンを試せるというのが素人老人の想像だったりする。そこら。