連載は続く~ SF掌編『寒さよりは夕日のまぶしさを体験』編


 予報によれば今週の半ば以降年末にかけては15℃前後でいきそうとのことで、昨日(きのう)、今日が実に寒い(一応年寄にとってはということで)にしろ、数日して、いくらかすごしやすく・・といった年末年始かも、など空想しているところですが、寒い!といってもそれを凌ぐには体を動かすことがなにより、と無理してかしてないかはともかくプロ女子サッカーの試合を見に行っていたわけで、早速その感想など。
 観戦中はじっとすわりっぱなしなので、ヒトにとっては腰に負荷がかかりやし姿勢なことはマスメディアでも盛んに発信されるようになっていて、そこらへの対処は怠りなくの観戦となった。
 で、試合は大宮のベントスチームが新潟チームをNack5に迎えての試合。
 (カップ戦決勝で負けたとはいえ)上り調子の新潟チームが相手の試合だから当然注目の試合。はたして・・・
 素人老人は勝手ながら、だから選手・スタッフ諸氏には大変失礼なことばをあてはめることにはなっているのだけど、ベテラン揃いの大宮のベントスチームはエンジンがかかるまでかなり時間を要する、と(寒くなって以後の試合をいくつか見た限りだけど)勝手に見なしていて、この試合でも前半は動きがさび付いた感じだった。
 一方の新潟チームは攻撃の型を共有されている感じで、攻撃モードにどのポジションもが連携して勢いを持って向かうことができているように感じられる。
 後述するけれど、とはいえ・・のところは未だ見受けられる。
 ベテラン選手たちの体が温まり切れていない段階では、仕方ないかのトントン拍子の2点を献上。
 温まり切れていない体たちが、散発的に連携を起動させて、後半での動きをなんとなく匂わせ続ける。
 ここらはだから素人老人考えに過ぎないが、監督・スタッフのとんでもストレス源を提供してそうだ。弱体で下手くそだったら、それ相応に準備すればよいのだけど、それなりの実力を有するはずが、温まるまでにかなり時間を要するだけ、ただそれだけだから、いつエンジンの回転が安定的に高回転低速回転を自在にするようになるのか待つっきゃない、ということで、大変だ。
 前半、先発メンバーとして登場した若手も若手の大島選手もだから、変幻自在のバス回しを演じ合う相手自体がエンジンを暖めている最中ということで、活躍の場を得にくいままにしていた。若手のもう一人杉澤選手は、そこらはかなり慣れてきているのか、自らが仕掛けるような端々は発揮されていたけれど、それでも、周囲の選手たちの体が温まり切れていない状態を読んで、活発な動きまではできにくいようだった。
 温まらない体が出すパスはそれなりに相手チームへのサービスパスのようにもしがちで、ベントスチームに限らず、出場メンバーの比率がベテランに傾きがちな各チームでの試合開始前から、疲れ感をひきずらないで済ませられる体を温めて、いい調子のところで、試合を始められる(試合前に寒いグラウンド上でのセレモニーが少々あるからベテラン選手諸氏にとっては知らず知らずエンジン冷却効果を被らせやすいはずだ)工夫が発明されるといい。素人老人的には、以前極寒時期での早朝散歩の件でふれたように、相撲のてっぽうを10本やっては疲れ感を誘いかねないので、4,5本程度、頑丈な建物の柱相手にこなしてから試合に迎えるなら、それなりの効果をだせるのかもなど想像するが、そこらはサッカー事情、各選手の志向などから工夫・アイデアを紡(つむ)ぎ出せそうだ。
 ということで、前半だけからも、以前ふれたあたりのいかにも素人過ぎる辺りに気づかされている。かなり試合慣れしてきていて、率直サッカー技表現をベテラン選手諸氏並みにできそうになりつつある杉澤選手もいるけれど、本日の大島選手を見た限りでは、もっともっと様々な生々しい場面を体験できる試合出場の場数をこなしてもらって、その瞬間瞬間こそがかけがえのないサッカー人生の一コマということで遠慮の要らない大島サッカープレーをその瞬間瞬間を無駄にできない程度にたっぷりファンサービスということではないけれど、試しの要素も含めて、出し切れるような心のゆとりと思い切りなどを発揮できるようになるといいんじゃないか、な、とかここらも素人老人の勝手な空想になるけれど、思えた次第。後半に登場させてきた監督は意識してか、現役でもおかしくない年齢の監督の体がそう応じていたのか、ベテラン選手諸氏の体が温まって時期に大島選手を登場させていたのには、それなりの事情理解があったことを素人老人は認識しているところ。 その大島選手のサッカープレーの出し惜しみ状態は、ベテラン、中堅選手諸氏、杉澤選手にもちらちらと伺えた。たとえば出したパスが芝生の抵抗にあって届きそうで届かない減速気味の走りになるようなことになる力の加え方をそちこちで見せられた。
 自ずとそれらはパスミスのようになってしまう。ずばりパスミスも目立ったから、そこらは、ベテラン、中堅選手とはいえ、周りを見損ねている、ということの証(あかし)と見ることができそうで、エンジンがかかり切っていない体の状態はそういった細かいところにまで影響してしまうようだ。
 対比的に後半、エンジンが温まってきたのか、ベントスチームは、相手のボールを奪う勢いが付いた時、相手チームにとっては、ミスパスでしか応じきれないくらいの圧を受けるような状況に誘われることになるくらいのことをやってのける。それが持続的にこなされる実力を持っている(もちろん、緩急使い分けで応じないと疲れてしまうからそこらはベテラン・中堅の腕の見せ所となる)。
 ベントスチームの発信ページにて、試合後のコメントを試合ごとに読める。
 そこで時々杉澤選手のコメントも載るのだけど、しっかりことばで考えるタイプの一面の持ち主であることをうかがわせてくれる。
 だから素人老人のうるさいお節介となってしまいそうだけど、そこは敢えてというか老人のわがままということで許してもらって指摘してしまうと、経験豊富な世代である新潟チームの川添選手がパスを得て、走りこんでその時点でのスペースの状態から可能ななにかを当然走りながら考えていたはずで、その時に並走する以上に素早く駆け込んできていた杉澤選手は、プロ野球の超有名だった野村捕手がデータを頭に数限りなく仕込んでいたように、川添選手研究の成果を仕込んでいたなら、次の一手のいくつかは瞬間想像できていたはずだし、そうでなくても、ベテラン・中堅選手相手には圧を直接的に負荷できる状態にすれば、スペース使いについて簡単に障害提供となって次の一手発揮を不自由にできることくらいは思いつけるはずで、だけどその時はスペースを提供した状態から次の動きへ対応しようというタイプを選択していたように素人老人からは伺えるものの、圧の発揮とはまったくなっていないのだから、川添選手ほか各選手のデータを仕込むことと、世代の技量に応じたインスタントな最低限の対応をいち早く身につけて直観的に応じられるようにしてもらえると、その場で奪い返せたボールを向きを変えて、相手チームのゴールめがけての速攻返しが可能にもなってしまうかも、で、サッカーファンにとっても期待大なシーンとなってしまう。ベテランの巧みを若手が切り返して・・のシーンだ。
 体が温まるにつれて、視野も広がり、相手のボールを奪い、こぼれ球の多くをひろえるようにもなり、後ろへのパスは必要に応じてくらいに適切化されて、攻撃モードをより頻繁に持ち込めるようになると、さすがの新潟チームもボールを確保する時間は、極端に減りだした。
 新潟チーム10番上尾野辺選手の動作姿は、同じチームの32番白沢選手が若手であることがわかる身のこなしとサッカー身体をほのめかし続けてくれていた辺りを、勘違いさせるくらい似させていた。サッカー運びでの観念系・構想力ということではベテラン選手諸氏は凄いわけだけど、そのイメージを具体化する足技ということでは、数段、今時の若手たちがチームプレーとしても身体に身につけてしまっている。にも関わらず、10番の後ろ姿にはサッカー身体感がただよっていたことに気づかされた(とにかくまともに女子サッカーを見始めたのは、今年に入ってからの素人老人の発見の類だ)。
 実は、新潟チームも、相対的には、若手を交代選手も含めて、より多くそろえるようになっているけれど、大宮のベントスチーム同様にベテラン・中堅で固めてきたチーム構成だ。そして、攻めのパタンをある程度共有できるようにしていそうで、前半でのここぞという機会を見逃さない点の積み重ねを可能にしてしまった。
 でも、同じように動けるようになったベントスチーム相手では、17番滝川選手の個人技での‟突破‟頼りのような状態になっている。
 川添選手の凄さを裏付けるパタンをデータとして頭に置く方法で、滝川選手のパタンも仕込んで置ければ、次はない、とベントスチームの各選手の体が温まってエンジンがいい調子の時のことを想像できる。
 ベテラン・中堅選手相手には大雑把には、そういうことが可能と察する。
 でも若手選手たちが試合に慣れてきて、動き回るようになると、上手さの度合いが段違いだから、たとえば、日本代表のDF選手諸氏が指摘するリトバルスキー選手の足技は、その足の間で振るボールの距離が半端じゃなかったそうで、そうなるとわかっちゃいるけど止められない状態になるとのこと。そこまで限られた人生時間の中で工夫しきれる選手はそう多くはないとしても、基礎のところが段違いの若手たちが沢山育っているので、その先の応用をこなすやつも少なからず登場すると思えて期待大だけど、試合中の各選手にとっては相当にやっかいなことになりそうだ。
 しかもパスサッカーも基本事項の一つとして育ってきているのだから、スピード感もどこまでベテラン・中堅選手諸氏が応じきれるかどうかだ。
 現状、生のプロサッカーの試合での場数を踏めているのは、日テレベレーザチームくらいで、大阪チームでさえ中堅にプラス若手の構成に過ぎない。だから現WEリーグはそのすさまじさの一端すらまだ見ていない段階だ。
 世界のスペイン若手チームを想起することは2022年U-20ワールドカップがあったのだからプロ女子サッカー選手諸氏にとっては身近な話題に過ぎない。そしてそこで決勝の相手だったのが、日本チームのU-20世代だったことを忘れていないだろうか。既に逸材にまで育てられた選手たちが先輩の位置にいて、更に後進が先の世代を育て続けたコーチ陣の下、育て、更に工夫して育てられてそうだ。
 JFAアカデミー福島のチームが、強いのかというとそこそこのところでリーグは競っている。でもそこにトップチームに参加して思い切りも!いい、好プレーをこなすDFの超若手選手まで育てている。
 先日、小野選手も参加していた先輩の方の中村選手の引退試合中継では、様々な選手が登場していたこともあって情報も豊富だった。かつてテレビ中継を沸かせた選手たちが今ではかなりコーチをなって現場をになっていることも知った。小野選手世代、それ以後の比較的若い選手たちが今ではコーチとして各地で活躍している。それがひょっとして女子も男子も足技とパス連携を巧みにこなすし個々の特性からシュート技も半端じゃないのが育っていそうだし、後は、J-リーグの忙しないだけの試合運びパタンの発想を脱して、魅せるサッカー演出を発想できるだれかたちを育ててもらえれば、きっと強いだけじゃない日本代表の女子、男子が活躍して、サッカーファンの励みになってくれそうだ。
 後半、中堅かベテランかくらいのMF仲田選手のコーナーキックをきっかけに、相手チームゴール前をざわつかせ、ここも素人老人の新発見なのだが、どうやらDF乗松選手もむしろペナルティエリア近くかその内側で元気になってしまえる攻撃発想に偏った選手なのかもと思えるくらい、短時間のうちに遊び始めたボールを受けて瞬間ゴール前に上げてしまえる。それを得てシュート。で得点。
 後半は時間を追うごとにベテラン・中堅選手諸氏には疲労をもたらし始める。
 だから体をいかに早い段階であたためておけるかは、試合展開に直結してしまいそうだ。
 それほど混雑する中でもシンプルに得点してのける実力を発揮するベントスチームなのだけど、エンジンは疲労とともに温まる感じをこの何試合か続けてきている。
 より多くを返して同点なり逆転とすることが簡単そうで簡単にはいっていない。
 動き回る後半登場の船木選手のかき回し効果も、エンジンがかかって動き回れそうで、疲労をためてきたベテラン・中堅選手諸氏にとっては、活かしきれない要素に近づけてしまったのかも、と思える。だからパスの出しどころを探しそこねて持ちすぎのシーンもあった。
 ただし、ベテランの鮫島選手は、先日引用した浦和チームの菅澤選手が相手チームの少し若手選手を追い抜く走りを見せてくれたように、ないし2011年を持ち出すのはもういい加減にしてくれと言われそうだけど、素人老人にとっては今年が初年の記憶、記録データなので、つい持ち出してしまうけれど、この日も後半も半ば過ぎか、走り抜く場面をみせてくれた。
 その鮫島選手に関しては、老人の座るすぐ近くで新潟チームを賑やかに応援していたファン諸氏が、4番長嶋選手だったと思うが、ひょっとしたら5番の乗松選手からだったかもの可能性も含めて、ミドルのフライタイプのパスを見事、ストンと一発でおさめるトラップを披露してくれた瞬間、おおっ、上手い!と感嘆されている。今時のWEリーグを見に来ているファン諸氏にはこういったゲームを楽しめる人々がいらっしゃることにも気づかされた。
 若手を育てつつ、エンジンのかかったからだの温まっている状態でのベテラン・中堅選手たちの凄さが頼りのチームと試合をこなす監督、スタッフ諸氏も選手諸氏とは少々違った大変さがおありとは察せられるけれど、しばらく(3月の声をきくまで)は寒い時期が続くということでは、工夫次第の大宮チームの展開となりそうだ。
 新潟チームは相手チームの読み・予測以上をいかに試合中の巧みで発揮し続けられるか次第で、現状ベテラン揃いの浦和チーム、神戸チームを軽くあしらえるかもしれないし、逆に、読まれて壁としてしまうこともありだ。