連載は続く~ SF掌編『はなしは女子サッカーモードやや全開』編


 卓球では中国選手たちが集中を切らさない試合運びをして、日本チーム各選手が苦しんでいる。
 画面からは重さも物質性も感じさせない卓球の小さなボールを、あたかもサイバー上のまぼろしの選手たちが自在にコントロールし合って、ほんの瞬間のコントロールし損ね程度の差が相手への返球をミスらせてしまう密度の交換として、見る側を圧倒もするし、逆に熱中もついついしてしまうほうに誘ってくれる。
 だから‟熱中‟症には気を付けたい(ほかの必要事に時間を割く必要ありだから)一方で、先日見た絶好調の早田選手とぐいぐい伸び盛りの張本選手との試合は、途中までを見て、中断しているところだけど、早田選手を技とか試合での絶好調の状態で負かせて、しかも、その選手すらが、次の試合では、また相手選手に同様に集中度互角の中、負けさせられて・・のような繰り返しの中、トーナメントのどの段階でめぐり合うかしれない国際試合において、中国選手諸氏の‟強さ‟と五分の状態で猛烈なスピードと回転の軽すぎるかもしれないボールをコントロールし合って、万が一ではない状況として、勝っているかも・・が充分に起こりうる。

 そんなこんなで先日みたベントスチームとレジーナチームとの試合(私事ありで前半のみ見て退出)を参考に、女子サッカーの中でベントスチームが機能し始めるころをSFだから勝手に・・・のノリで話にしてみたい。
 ベントスチームがレジーナチーム以上に(かつてのスター選手ぞろいという意味でも)ベテラン(といって、年寄から見たという意味合いからではなくても、年齢的には今時、実質本当に若い年代の選手たちだし、その中で10歳くらいの年齢差は含ませてしまう)揃いで、堅実に守り切るタイプだ。なのに前半に2点とられたのは、について素人観測にふれておけば、中嶋選手が攻撃モード全開を選んだ場面では、仲田選手一人がついているだけだったことの失敗をシンプルに指摘できる。途中に有吉選手が待ち構える格好になったにしても、圧が散発的にしか機能しないので、2018年U-20世代にとっては、かわせる圧として機能しやすいから、ちょっとの余裕を得て14番松本選手のヘディングシュートを誘えた。全開モードじゃないときの中嶋選手は動作がそれほどではない。としても油断はできないからいつでも二人で同時の圧を加えられる準備は怠れない選手だ。アジアの試合からも気づけるし、WEリーグでも、そこらをこなせていれば、制御できている。
 ただ仲田選手が追っているときに見せてくれたけれど、長い蹴りだしによってドリブル時の仕方のない減速をしないで済む工夫もしっかりこなす選手だから、俊足系の選手がつくことも守備では助けになる。
 2018年U-20世代の選手たちの抜き方を旧世代選手諸氏が制御することは、多少難しい。 ここらは素人老人年代が指摘する以上に、年代ごとに個人技が上達して選手になってくるあたりを直接ご覧になっている、今プロ現役の選手諸氏が一番熟知されていると推測する。
 2020年U-20世代ともなると、動きそのものが活発化していて、2018年世代でも手に負えない後輩たちがわんさか出てきていると実感されているのではないか。
 その年代以下の選手たちは、ボールさばきをどう学んでしまったかは属する集団との相性の中で身につかせているので、それぞれ性が出てしまうと思うけれど、個々の体を使ってのボールさばきということでは、芸人並みになってそうだ。リフティング技というよりもゲームでのボール扱いの巧み、というニュアンスで。それがずっと続くことで、列島さかー育ちからも‟名人‟が沢山生まれる気配だけは生じている感じがしている素人老人だったりする。
 ベントスチームの堅実なゲームプレイだけだと、今時のスピードを駆使してくるチームには抗しえない。そもそもボールを確保し続けることができにくくなってしまう。
 ボールを得たなら、しばらく、ないし、シュートするところまでは確保し続けられるゲーム展開が今時だと欠かせない。
 堅実にも関わらず、攻撃時の必要から出すなんとか届いてのミドルパス(相手に届いてしまうこともあるからボール確保にとっては不可抗力ともなりうる)をなぜか多用してボールを相手チーム(レジーナチーム)へ渡していた。
 そういうミドルを出しながら、一方でベテラン選手たちが攻めの構成を図りつつある中、そこへ向けたミドルは出しにくかったのか、出ていない。
 FWの井上選手は手堅いタイプと素人老人は受け止めた。
 だから代案を素人老人が空想してみる。
 攻撃的に動くベテラン選手たちを巻き込んで特に2022年U-20世代以下の選手たちに動き回ってもらうし、2018年U-20世代も可能な範囲で動き回ってもらう。
 素人老人が見たところの話になるが、意外と言ってはご本人、ネット娯楽番組でのPK合戦のくやしそうな顔見てないの!とかおしかりを受けそうなのだけど、鮫島選手はDF担当だけど、いつも手ぐすね引いて攻撃モード全開を待ってそうな気配を感じさせる動きを見せてくれる。でもそこを抑えて危ない危ないで、危険個所へ飛んで行ってボールの動きを制御しにかかるシーンの方が目だつと観客諸氏には映っていそうだ。
 監督も攻撃サッカー好きなのかどうか、そこらベテランや若手をまじえた動きのあたりに関心をよせていることをネット上で公開されている。
 同じDFの有吉選手も攻撃モードをちらつかせるタイプだ。
 更に攻撃モードを多用するのが少し若い年代のMF仲田選手だ。
 近い年代のMF阪口選手は(素人老人が見逃した)後半、得点していた。
 15番のMF林選手は2018年U-20世代だ。
 動き回ることに抵抗がちっとも無さそうに実際動き回るMF19番船木選手はだけど2018年U-20世代より以前の世代同様にボール扱いでの制約を引きずる。
 先発に頻繁に登場する選手としては以下
 DFの4人(鮫島、長嶋、乗松、有吉)
 MFの5人(阪口、仲田、林、船木、杉澤)
 FWの1人(井上)
 この10人が今時のサッカーでは、どのポジションからも機会到来ならば、攻撃位置に走りこんで、他のだれかがそこを埋める仕組みをいつも機能させてしまう。
 DFで攻撃モードに参入しやすい選手としては
 DF鮫島選手、有吉選手、乗松選手だ。
 できれば、慎重にも慎重にと動作される4番長嶋選手には攻撃モードに加担するボールの配給を意識してもらって、ワンタッチ返球、配球とか、緩急使い分けで、時には走り出した選手へ高スピードのパス、とかも多用してもらいたい。
 MFの5人のうち2018年U-20世代の林選手は攻撃モードかそれへの助走モードの時に、集中を切らさず(消耗の度合いがとんでもなくなることはなんとか他のシーンで整えてもらって)ボールを保持しつつ出しどころを短時間に見出す方で技を使ってもらう。或いは、パス回しが始まった状態で、パスの受けてとなるための早い動きから同期させて、パスをもらってまたすぐに出して、それからまたもらう格好をするか、もらうかして、またすぐに出して・・守備の隙の有無も気にしながら、シュート機会狙いの動きの準備くらいはしておいてもらう。
 阪口選手、船木選手はボール離れを心がけて、パスコースを合図する選手を素早く見つける方に集中して、できれば2回くらいのやりとりをワンタッチでこなせるリズムをイメージにおいておいてもらう。
 攻撃にいつのまにか動いている仲田選手には、ペナルティエリア内をめざせる動きを摸索(もさく)してもらう。その間、ドリブルではなく、パス回しでのボール運びと関わることも有りだ。
 若手の杉澤選手のみが同じ役をこなすようになるとただ単純に相手チームが防御しやすくなってしまうので、そこは工夫が要るのだが、ワンタッチパスモード(だけにこだわることなくどの選手も臨機応変が要るけれどボール離れを素早くこなすことはボールを奪われにくくする必須事項だ)を発想するDF、MF各選手たちが、杉澤選手の運びをサポートする感じで、パスコースを用意して合図しまくり、杉澤選手が状況に応じてパスコースを選択するということが可能になっているはずだから、仲田選手なり船木選手なり、阪口選手なりが、ペナルティエリア近辺にいる状態を確かめつつ、シュート機会へと誘えるねらいのパスを出す。そういうパタンを用意しながら、途中のどなたかがそれをこなすという相手チームをまどわす手法も、これが上手くいくようになるとできてくる。
 有吉選手が守備をだれかに任せて、ひょひょいとサイドから出てきて、シュートしたい選手へパス!というのも活かしやすい。自らシュートという場面も期待できる。
 体を横に浮かせてボレー!をやってのけた乗松選手も似たことを、相手チームの予想外の瞬間技として、走りこんでシュート・得点にさせる。
 中で最も攻撃したそうな鮫島選手は、ミドルでも時に正確なのを出せるほどだから、攻撃モードで前の方がかき回された状態のケースに、ボール後方返しを得て、シュートというシーンも作れるし、自らが走りこんでパス回しで運ばれたボールの最終シーンを飾る役を担うことも可能になる。
 同じく過程でのボールのやりとりではワンタッチ的ボール離れを心がけてもらえることは欠かせない。
 相手チームがだれを相手にすべきかでほんの瞬間混乱を生じさせているような時、若手の杉澤選手や準若手の林選手が自ら持ち込む機会もありうるから、それでシュートなんていうシーンも登場する。
 手堅さに攻撃モード+得点が加わって、絶好調のベントスチームがWEリーグを騒がせ始めた。
 レジーナチームには、シュート+パスで技を発揮できる中嶋選手とシュートで冴えを見せる上野選手がいるにも関わらず、神戸チームとか浦和チームとかと五分の勝負ができていないのはなぜか。23番柳瀬選手のように活発に動き回って疲れないタイプ(実際は大変だとしても)がいるのに。
 この日の前半のみのデータからして、攻撃サッカーのボール保持のための工夫に一歩踏み出し切れていないだけ、と素人老人は感想的に指摘してみたくなる。
 上野選手はシュートの巧みだけはベテラン世代にもかかわらずの辺りを指摘できるし、中嶋選手も上記した如くだから、弱点は明解だ。そこを補い合えて、得意を相乗できるのがパス回しやを使いこなすボール保持してこそのサッカータイプと想像できる。
 こうなるとベントスチームが二番手を狙えるようになるし、それでなるものかと追随してくるのがレジーナチームになりそうで、ホーム、アウェー感覚を採用するなら、実に困った事態なのだけど、素人老人は(40代だって今時若いのに、やっと30代程度の若者たちもが成しているのがWEリーグ)若者サッカー応援志向ゆえ、どちらのチームもどんどん可能性を挑戦的に追及してもらってゲームを盛り上げてもらいたいな、と期待しているところ。