連載は続く~ SF掌編『サッカー空想話、大宮のベントスチーム版』編


 熊谷の陸上競技場で皇后杯の試合が行われて、それをJFAがライブ中継していたのをみることができた。
 1-0で勝ったちふれチームについては、そのうちということで今回は大宮のベントスチームについて少々。
 試合進行の実時間表示での60分台、70分台にベテラン選手諸氏こそかもしれないが体が温まってか、すばやいパス回しのシーンも見られたりで、その先の展開まで持って行ければ点は複数点をどの試合でも、となりそうな気配は感じさせてもらえた気に(素人老人は)なっている。
 その一方で、の辺りにふれたい。
 以前もふれたと思うけれど、鮫島選手、仲田選手、杉澤選手の3人は、こころのどこかにいつも攻撃モード全開状態をイメージしていそうに、素人老人には伺えてしまうわけだ。
 つまりペナルティエリア内までボールを運んで、できれば自らシュートで決めたいくらいにイメージしてそう、ということ。
 そうなんだけど、実は、この日の試合がよりわかりやすかったのだけど、鮫島選手がボールを持ちすぎてしまうシーンが何度か登場する。
 攻撃モード志向で、近くでからめる他の二選手仲田選手と杉澤選手とだけでもいいから、パスコースをちらつかせたり、距離を置いたところからアイコンタクトなりを発信し合えるとよさそうに思えたが、若手に出すよりはベテラン間でパスを回し合う場面が目立つ印象を持った。
 若手に出しずらいなんらかが未だあるのかどうか。
 そこらはベテラン選手諸氏が若手を信用するようにしいてしてくれたり、若手選手諸氏が信用されるくらいパスをしっかり受けてそれをさらにいい展開に持っていく実績を披露しつづけるような過程が要るのかななど素人老人は察するけれど、強引に、それはともかく、とにかく攻撃モード志向のこの三選手がボール離れを素早くこなし合って、ボールを前へ前へと運ぶようなことが起これば、相手チームは相当に慌(あわ)てることになる。
 次からはとか、その三人が適度な距離を取ってコンタクトし合ってそうだという時には特別の注意やシフトに向かおうとかで体が準備し出すような誘因となれば、もう一つの攻撃パタンを有効にできる機会の一つになる。
 今時のサッカーはとにかく上手なチームほど、余裕をもってボールをキープし続けられない圧を加えてくるものだから、ボール離れがよいチームはボールを保持できている限りで、有利な状況にいられる。
 それに適応できるかのように若手を育ててきたコーチ陣の考えが機能したのか、今時の若手は、ボール離れも逆にドリブルも相対的に上手だし、ボールコントロールも上手だし更に上手になるかものポテンシャルを持っている。
 そこらを踏まえてベテラン選手たちが、若手たちをゲームの中でもたくましく育つ機会提供になるように、使いこなすことが、シュート機会へと誘うパスによるボール運びだったとすれば、以前もふれたかもしれないけれど、ベテランや中堅の選手諸氏がシュートするうまみをいただく代わりに、若手のキープ力やパス上手を中継点になってもらう方で使いこなして、自らの何人かが周りでパスコースを示唆しながら徐々にペナルティエリアに近づいて、相手チームのしっかり目の陣形を、数度の緩急パススピード込からするパス回しによって自(おの)ずから崩(くず)せて、より得点しやすいシチュエーションを招き、おいしいところをベテラン、中堅がもらう、ということを繰り返せる。
 そういうことを数こなしていれば、若者たちは急速に技を磨いてしまうから、時には、その中でも自ら、シュートチャンスをごく瞬間得て、シュートして得点、ということもたっぷりおこりうる。
 そういう騒がしい3人の動きは、有吉選手タイプの巧みが介入しやすいシチュエーションを相手チームにつくらせるし、その有吉選手がシュートしなさいというタイプのパスを出す相棒になるだれかは、その3人以外のはずだ。阪口選手かもしれないし、林選手かもしれないし、FWの上辻、井上、北川選手か、動き回り上手のために逆にパス出しをし損ねてボールを持ちすぎてしまうこともある船木選手かもしれないし、DFの位置から、抜け目なくだれかを代わりにDF位置にいてもらって乗松選手ないし長嶋選手がごっつぁんゴールをもらいに走りこんでくるかもしれない。
 メンバー構成に変化を持たせて、若手を二人にできれば、先の三人構成とは別に、若手二人でのかき回しパス回し作戦も要素にできる。杉澤、大島両選手の距離がパス回しできやすい位置関係であれば、そこらの攪乱も持ち込める。
 そしてどちらもシュートが得意そうだ。若者は、相手チームの圧に海外試合を重ねた選手諸氏と比べて、遠慮がちに応じがちと(素人老人は)印象することが多いので、かわせればそれに越したことはないし、自らの体の圧の使い方体の向き方でもかなり制御できる当たりを早くゲームで適切に使い分けできるようにしてもらって、二人でも相手チームを攪乱してくれて、その間に、有吉パスとか、先の60分台、70分台に披露してくれたパス回しをベテラン、中堅選手諸氏がこなしてシュートに持って行ってしまえば、もう複数点が10点に近づくかものようなゲームも想像できないことではなくなる。
 素人の老人発想過ぎるきらいはありそうだけど、ゲームを見た感じ、老人本人は、きっとできると期待してしまう。