連載は続く~ SF 掌編『要注意。年寄りがサッカーに限ったことを話にしている』編


 若者達は、自らの志向・嗜好が"自ら"と相談して感知できている範囲での技量との絡みからある程度、"自ら"としてイメージできてそうだ。
 とはいえ、たとえば男子サッカーを自らする若者のだれかたちにとっては、Jリーグの諸先輩が繰り広げるゲームを見て、先のイメージを棚上げするようにして、その(Jリーグの試合が)向かおうとする趨勢についつい誘われがちにして、いざ生々しくサッカーをゲームとしてやっている時には、諸先輩が繰り出してくるイメージに誘われるようについ演じてしまいがちにする。
 そして(それゆえ)同様に、体を激しく使う割りに、目標である点につながらないプレーが重層する姿、サッカーの一タイプを観客には見せがちにしてしまう。
 今やアルゼンチンチームにでさえ、体の寄せとか、玉際での奪い技、において、見劣りしないくらい素早く、器用に、しかもタフにゲームの展開の一部にできてそうなU-17世代の男子チームが構成されるようになった列島(サッカー)環境って、どうなってるんだ?!と驚きと不思議さを伴って想起しそうになる素人のかなり年配な老人であったりするのだが、既に2022年U-20女子サッカー世代がサッカーとして表現してくれていたシーンを振り返れている我が身をも振り返るなら、男子たちにだってそういうことは起こってて当たり前だよな、程度には納得がいくと思い込めている。
 そんな凄い連中が、現状のU-17アルゼンチンチームから1点しか取れていないゲームを披露したのをテレビ画面を通して見ていた。
 そのわけは、多分、前記の通りと察する。
 だからこそ、普段のしかもより多くが見ることになるJリーグのゲーム展開への工夫は欠かせそうにない、と素人老人の理屈は、指摘したくさせる。
 パス回しで攪乱して、シュート機会を探るような脅かし効果も使いこなしつつ、精度のよい、ミドルなりを隙(すき)ありで動いて位置を鮮明にしたか、そこに居て、ここだ、と示すかした選手へ上からか、ゴロでかパスを出す、そのパスも状況に応じて緩急を激しく使い分ける。シュート!これでも、早くも1点だ。数分間で1点として、集中しっぱなしでは疲れて後半に逆襲されてしまうから、ペースは油断しない緩急の使い分けで、ここでもパス回しのお互いの呼吸あわせが物を言ってくれる。
 ロングやミドルのパスで素早く技を多用すると、ただ忙しなくゲームを展開させがちにして、徒労の方が積み重なりがちだ。
 逆のやり方も使いこなしに組み込める。ミドルの精度良いパスから一気にシュートと見せかけの揺さぶりを使いつつ、急遽、ワンタッチパス回しでのゴール前接近を試みて、おとり役2、3人に紛れ込んでの本物のシュートで更に1点だ。
 相手が上手なアルゼンチンチームよりも更に上手、と言う場合ならば、(女子チームにも男子チームにもできることならかつてのディフェンスの男子名選手達がその力量を体感させつつ教え上手になってくれて、その詳細を伝えてくれると、若い選手達にとってはとてつもない宝となりそうだ。それを受けて、現場の熟練コーチ陣が、フォローを積み重ねれば、体に浸み込んでしまうしイメージ再生自由自在状態にできる)鉄壁の守備で相手をいらだたせつつ、使い慣れているかもしれないが、Jリーグ方式を真似ないタイプでのカウンター速攻か、パスを二度くらい挟(はさ)む変則技で、相手チームの苛立ち(いらだち)を更に倍増させる策を工夫できる。ゴール前では、フォワードならではということで、スクリューのようにもつれあいそうな相手選手たちの壁に自らを怪我なしでねじ込めるようにしてしまうことも確実な得点につなげられる。体に自信過剰な上手すぎるディフェンス陣を擁(よう)する相手チームの場合なら、それこそ、その壁伝いに自らの身体を使ったスクリーン使い掻き込み技でかわし切るという技も、現U-17選手諸氏の身体能力ならこなしてしまいそうだ。

 今や、理念先行から邁進(まいしん)中のヨーロッパ域では、コマーシャルなノリが誘う、多用されがちな、ワンパタンな指標に寄りかかることの問題群について、それなりにことばとして発信されるようになった時勢(じせい)だ。
 それを受けて、ということではないけれど、芸能や宣伝の中枢を担うと自負される沢山の諸氏においては、そのヒトと関わるえげつないとことばにされるかもしれない生理作用と関わらせての喚起のための手法が、ずっと使われ続けて商売とできるようにする中心に、(その作用[引き付けて規則的期間を経て飽きられたので脇に置かれ・・・(単調な繰り返しが続く)]系ゆえに)直ぐ次の候補を用意し続ける仕組みを各分野に用意して、ということで、あまりにも単純な仕組みゆえ(うるさいやつら系が発するのとは異なる経路だけど同様の強い飽きを誘う経路なので)、多分、その担当諸氏においては(営業上関心を引きやすい事ゆえ必須かもしれない手法とはいえ、ヒトの観念系が工夫してきたからこその世の中の住みやすさをめぐる試行錯誤への時間の傾けを誘いにくくする引力を発散し勝ちする方へ誘う手法という反省点からして)そうなってはいけないのだし、まして、子供達にそうなってしまう実質を知られたくはないとか影響させたくないと思いつつ、商業利害からは手放せないということで、いつでも新鮮さを保ち続ける、素材となる人の入れ替えこそが本業となるようなことをし続けている、そこをヨーロッパはそこを直接指すのではないけれど、理念として、色々性を持ち出すようになっている。
 USは市場原理だから、発案があれば、それを受け入れて、市場に晒(さら)させて、淘汰過程に任せるだけの面倒くさがり手法を蔓延させているだけなので、理念を持ち込んでみせるサービスは可能だけど、暖簾に腕押しのところがありそうだ。
 列島では、理念研鑽の辺りはともかく、現場が先行して、事後的に認められていく姿はいつものことだ。
 もちろん、(資金的巨額の継続的裏づけとか)強力な支えがあって、現場での試行錯誤を混乱させたり、一時的に沈潜(ちんせん)させたりの事象が生じやすい20世紀後のメディア利用タイプが激しいことも事実だから、単調な事情としては生起しずらいかもと思えるけれど、女子サッカー選手たちは、90分間かそれ以上を走り回って、その内容質においてボール扱いの巧みを連係プレーによって披露してくれたりが充満する時間なのだけど、その後、試合を見に行った諸氏ならばわかりきったことと察するが、観客に挨拶して廻るサービスすらこなす凄い連中だ。そこに更に素人老人観点を挟ませてもらうと、女子サッカー選手の体つきは実に様々だ。その様々な体形が最低でも90分間を緩急リズムを伴って走り回ってパスとかシュートとか様々なキックの技を披露してくれた上に、しっかりものだったりする。介護経験から、(90分間の激走が命取りになるくらい)太り気味な諸氏(男も含めて)においては、ひざの痛みとか糖尿病とか、脳血管系のつまりと関わる病気とかで折角の老後を苦しまなければならなくなる方を相対的に多く見てきた気がする。サッカー女子は、これからどうなるかは正確な意味合いからは不明としたほうがいいけれど、とりあえず、90分間も色々な走り方、体の使い方をして走りきれるからだの持ち主でいられることを、様々な体形において証明してくれている。
 サッカー女子の様々な体形と巷の女子諸氏が自らの体形と相談して、これなら、使い用では90分間のその激しさを使える可能性を読める、ならば、ないし、体を少しだけ、トレーニングにさらして、90分間の激しさは無理としても、少しゆるく、6時間なり7時間なりを、集中して取り組むことを日々繰り返すわが身体に自信を少しくらいは持てるようにしてくれそうだ。
 そして欧州ノリからすれば、それに加えてファッションとか衣食住に絡めて、様々な体形が、昔流の表現でその極北とも言える鶴丸氏のオーダーメイドでのユニバーサルな個別に輝く(‟落ち着き‟でもいいが)衣装というのを描けるなら、(20世紀芸術が相手にしてきた)レディメイドの使いこなし、(作り手側が思惑する使い道を外してしまうなど)どう使うかは使い手次第で自由自在なことは既知だから、それと組み合わせということからほぼ無限大の可能性の中で、様々な体形諸氏が自ら向けにアレンジしてしまう使い方で、かつてのワンパタンでしかなかった体形由来のファッションからよりリアルに個々の気持ちを解き放つファッションへの、既に、(ないし、・・・)の後の何年か後か数十年後かを今生きて応用させている、と見ることもできる。
 サッカーはスポーツの総合芸術系の一つだから、女子サッカー選手のゲームを見ることができるなら、そこに、日常の一齣くらいなら披露してくれるサッカー女子諸氏もいらっしゃるので、女子も90分間のスポーツ総合芸術の一派を成せる身体を育めるよ、の発信とともに、巷のだれかたちの中にまぎれこめば巷のだれかの一人一人でもあったりするしで、女子諸氏にとっての、体感、なんらかの感知が可能になっているのではないか。
 当方、素人老人は、ほんと俄(にわ)かの女子サッカーファンになったばかりなので、実は2011年ワールドカップ優勝チームの女子諸氏がいかにブームを作ってしまったかすら、まったく実感もないし知識としても知らないままだったのだが、その中のお一人が、ネット放送チャンネルを営まれて、12日の日テレベレーザ長野パルセイロの試合前、各チームのキャプテンに聞く特集を組まれていたのを参照したところ、長野のキャプテン氏が、ベレーザ村松キャプテンに向かって、うちには背丈も足技も凄いタイ人の選手が入ったから、本当にスゴイ選手だからと、試合では要注意だよのニュアンスを強調されていた。俄かの促成(栽培中)女子サッカーファンである素人老人はもちろんそれを鵜呑みにしていたし、進行役のかつての2011年のスター氏もそこまでバラしていいの?ということばすらもらしていて、だから村松キャプテンも恐らく、こりゃちょっと注意しなきゃ程度には感じてたのではなかろうか。実際の試合では、見事というか、駆け引き上手というのか、長野のキャプテンである伊藤選手がシュートを決めてしまった。後半、二人が同時に交代した。一人が伊藤選手で、もう一人が話しに出たタイから来た代表経験もある選手。話しに乗っていた素人老人は、その注目のタイの長身の選手の動きをベレーザの若手チームを応援する視線から追っていた。そして人だかりがゴール前で生じて、だれかが蹴ってそのボールがゴールに入ったらしいのだが、その注目の選手はそこにいない。では?・・その答えが、やや小柄な伊藤選手だったわけで、してやられたということになる。WEリーグは既にはじまっており、舌戦の類(たぐい)がとうにはじまっていたわけだ。
 村松キャプテンの日テレベレーザにも2011年のスターがいらっしゃる。そのお一人が岩清水氏で、ネット放送での宣伝には登場していて、親子出演されている。先の某ユーチューブのチャンネルでは2011年スター諸氏のネットワークが広がって出演者が登場している感じだったけれど、2011年スター諸氏は、昔で言う体育会系の好いノリというのかざっくばらんな感じの諸氏としておしゃべりしている。岩清水氏も同じ感じで、サッカー女子の親子ってこんな感じ?の一情景ともなっている。90分間走り切る身体の持ち主ともなりうる女子たちは、そうなっても、巷の元気っぽい親子同様なのは、不思議でもなんでもない、と素人老人が指摘するのも、妙なものだけど、俄かだから、偶然でも得られたので、連続性の辺りと特定して鍛えた場合に女子にもできる辺りの両面程度の指摘にはなるかな、ということで引用させてもらった。
 そう話題にしながらも、素人老人は2022年U-20世代以降の若手選手諸氏が、その体で覚えたノリのところを旧ノリのゲームで磨耗してしまって、せいぜい昔取った杵柄(きねづか)程度にしてしまうことのないよう、当面のこととして、応援し続けたい気を持っているわけだ。
 芸能、宣伝部門が"うるさいやつら"を騒がせて、いつでも新鮮な代用を用意しまくって、稼ぎを継続させていることは何度もことばにしてきたけれど、(ヒトにとって飽きの気やすいサイクルは激的系ではないけれど他にもあるから)ヒトは生理的に、同じパタンの繰り返しに熟練して馴らせることはできても、熟練のための"費用"はばかにならないから、通常の多くの事々については、そういうわけにはいかず、単調な作業に飽きてきて、ちょっと中休みしたいね、とかがポロッとことばに出たりする。
 こういったケースの場合も、だから、ヒトにとっての必須の知恵として、昔から、えらぶることがリーダーじゃない、という説明にも使えそうだけど、とにかく、集団の営みを引っ張る知恵の一つとして、ワンパタンに付き合わされることの集団を構成する個々にとっての苦痛を和らげる工夫が開拓され続けてきた。その時にうるさいやつらを騒がせる知恵をつけて一稼ぎできることに気づいて、その落とし穴のことをわざと気づかないようにして、20世紀以来を継続している業種が、その単調さの繰り返しのことに関しては熟知されているわけだし、そこをヒトの本質のように言われても巷はただ困惑するだけ、程度のことは素人老人でも指摘できるので、筋に戻せば、動体視力とか、変化とか、差異がもたらす発見的認識刺激とかに通じるヒトの生理の一面と関わらせて語らせられそうな、ということで学問的にも多分、資料化されてそうだし、巷の日常知としても蓄積され続けている。
 正確にトラップできる(せいぜいボール一つ分か30cmの範囲で(止めるとか)制御できる)し、正確にパスを渡せるし、状況に応じてボールスピードの緩急を使い分けられるし、回転質(ボールが落下した瞬間からの挙動などに影響する)の使い分けも正確に使いこなせるし、瞬間瞬間、相手チームからの体も伴う圧が加わる状況にあって、体の預け方とか、すり抜け方とかを日頃の失敗とか成功を事例に、どう対応できるかをケースごとの決定打として押さえられていれば瞬間業として引き出しから出して応用できていたりを可能にする、そういったこと(自らの観念系を作動させて色々を試行錯誤させているなど)は、ワンパタンでの飽きの逆作用だけど、(色々でも持ちネタには限りがあって話芸の担い手諸氏がどん詰まりを経験されるような)変化技のワンパタンな落とし込みを避けさせている様、と指摘可能な辺りを素人老人的には含ませたい。
 それらは緩急どのテンポでも使いこなせる。だから、90分間、ワンタッチのパス回しを繰り返して凄足技の持ち主をひけらかす必要もなく、緩急を応用できるためにもパス回しを上手にしておけるチームワークをいかにチームの体のようにして浸み込ませられるかは、チーム力と相当に関わってくる、と指摘できそうだ。
 その状況が、パス回しよりも、ミドルの一本のパスでもって点につなげられる、というのであれば、ゲームでなら、即判断してそちらを応用することになる。
 それが全て成功するようなことが仮りにありうるなら、得点はサッカーの常識を超えてしまいそうだ。だからそういうことはないとして、すると、繰り返しても点にならず、つまり似たパタンの繰り返しで、ヒトの身心ともに、必要以上に疲労させかねない。
 そういったことを避けるには、緩急モードを自在に使いこなしながら、自ボールの関係を保て易くするパス回しのチーム技になる。密度は保ちつつ、一呼吸置く、ないし、ゲームの組み立てについて考えを廻(めぐ)らせて見たり、暗黙で相談のシグナルを交換してみたりができる余地を生じさせやすくする。相手チームが元気なまま、絶え間なくボールを奪いに来るようなら、それを更に誘うようにして、知らず知らず空きを作らせるように誘って、一気に、の機会を伺えるようなことも起こる。
 精度と保持する身体の工夫力を兼ね備えていれば、普通に上手な巨体チームだろうと凄足過ぎるチームだろうと、相手として不足はなくなる。
 足の速さは、パススピードにはかなわない事実。
 日本代表男子チームの名ディフェンス選手諸氏が体を使って圧に対抗しようにも、その圧をなにものともしないで抜き出るタイプの選手は世界に何人もいることを踏まえて、若手選手たちにとってはそういう(現状でのスバ抜けた)選手と遭遇以前のはずだから、遭遇経験を持った名ディフェンス選手諸氏と夜を徹して、(若手選手たちのイメージからのアイデア発信も含め)どのようにそこを解決できるかを語り尽くせる機会をどのくらい持てているかも、サッカーの観客にとってもを含めて、サッカーの醍醐味と関わる不可欠な要素とちょっと昔めいた関わり方かもしれないけれど、素人老人には思える。

 若手選手がほとんどのチーム構成で、トレーニングではベテランが"悪辣"な圧の数々で若手選手たちを鍛える役をしっかりこなして、そこらをコーチ諸氏がしっかりトレーニングのメニューとしてこなせる仕組みにして営んで、実際のゲームに活かす。
 その線で若手主のチーム構成が可能なのは、カップの時には、ベテラン主だった浦和も含まれる。実際、3戦をネットの見逃しで見ることができるアジア各国チームとの試合では、第3戦など特に浦和のユース育ち諸氏かもしれない選手達が活躍している。
 日テレベレーザチームを筆頭に、大阪ヤンマーレディースチーム、そして浦和レッズレディースチーム。
 他のチームにも二人とかそれ以上の(2022年U-20世代以降)若手選手が含まれる。所属人数には10人かそれに近くいるけれど、実際の試合に出場する登録メンバーとしてはごく少数というチームが目立つのが現状。
 同じ、相手チームの圧を受けた状態でパス出しに瞬間窮(きゅう)してしまうような場合でも、ベテラン諸氏の場合は、周りを大抵見えているけれど、足技がイマイチ、ということで、逃げの慌(あわ)てパスを出して、相手に取られて得点されるということになるし、若手選手諸氏なら、周りを見渡し損ねて、どこが空いてる?の瞬間の次を待てずに、慌てパス出しで相手に取られて得点と残念がる。素人老人的には、その失敗パスを出して得点されるくらいなら、ほんのちょっとボール保持でごねて時間稼ぎして、それで相手にボールを取られるほうがやや無難な策ではと思いつきを指摘したくさせるが、現場感覚ではそうも言ってられないようだ。
 チーム力がつけば、日テレベレーザチームが密度良く好回転している時のようにこぼれ玉さえ拾えるくらいに動きながら動くボールとの距離を整えて位置関係も工夫できているがゆえに拾えてしまうし、当然のようにパスの受け手が動いて、こちらによこせとかシグナルを送ったりがそこかしこで発信しあえていて、パスの出し手がむしろ直ぐ次の展開の発想からのパスコースを瞬間技として選ぶことすら出来てしまう。その連携の連鎖がシュート機会に誘うこともありうる。
 欲張りすぎて、密度の濃いままを繰り返すと、ヒトの生理を疲労に誘うし、動体視力にとってもワンパタンの繰り返しをみせられるはめに陥り易くするから、緩急での体の使い方への誘い込みも欠かせない。呼吸を整えられるとか頭をちょっと冷やす機会ともさせうる。
 アジアの各国のチームとの試合の中で、浦和の清家選手は力まないタイプのシュートを何本か決めていた。より圧の加わるWEリーグの試合でもそれを応用できるようなチーム力が浦和チームに育つとちょっと手ごわそうだ。
 もしも若手選手たちが既に身につけている精度で、清家選手が応用した力まないコース狙いのシュートをなにくわぬ顔のノリで頻繁に使いこなせるようになると、そのチームは手に負えないほどの強豪チームに変身してしまう。守りのセオリーで陣形を組んでも役に立たなくなる。パスがそれを崩せることはわかっていても、体力を要してしまう。
 でもミドルのキック一本で、シュートを決められては、どうしょもないし、体力も温存状態が続く。
 サッカーにならないだろう?とは愚問で、キーパーが気づく。必ず気づける。
 以前指摘したけれど、野球のキャッチャーは160km/h以上の直球や投げそこねを体ごとでしっかり受け止め切る。
 キーパーも日頃から左右、上下の動きを万全に体に覚えこませている。残るは野球キャッチャーのように、蹴った瞬間を捉える感覚辺りにありそうだ。飛び方も独特だけど、そこらはサッカー慣れで場数を踏んでいる。飛んでくる方向のくせは、(蹴った足を)離れた瞬間から一種の惰性だ(ボールは空気の密度とやり取りして動作くせを持つ共通性)。だから同じだ。
 素人老人の若手選手発信には2018年U-20世代やそれに近いというか、2011年スター世代の選手達以外の、以後女子サッカーを担ってきた諸選手たちをないがしろにしてるだろ!!のきつい反応をよぶような内容に近いように受け取られそうだ。
 ここらも、それを動きながらしかも何パタンも・・はトラップのミスとかパス精度の誤差で続けきれなくて、現巨体チームには手も足も出ない有様にしがちにする、と素人老人は見ているのだけど、集中モードにたまたま誘えた場合は、確かに、精度良く、パス回し、それもワンタッチでのそれをしっかりこなしてくれる。そこらの事例としてワールドカップの際の長野選手が仕掛けて他の選手を巻き込んでのパス回しプレーを以前引用してみた。
 その世代の選手が、周りを見てもいないのに、ヒールキックとか、変化技を使って、パスに失敗して失点につながるようなことをついやってしまいがちだ。
 Jリーグの試合を見て育つ今時の若手の場合も同様で、だからU-17の試合でもその種の無駄なパス出しを気を利かせたつもりで、しかも時間に追われているような状況で、だからとの思い込みからか、やってのける。そこらを素人老人は若手のアイデアがまずい、というよりも、Jリーグ観戦育ちだから、という風に受け止めたくさせる。
 今時ということで、多様性とか包摂性とか理念的な基礎を女子も男子もサッカーの運営側は建て前だけではないところで受け止めておられるような発信が目立つようになっている。
 そこらを踏まえられるならば、ベテラン諸氏、中堅の大勢諸氏、そしてこれからを担う育ち盛りの若手諸氏の各選手がサッカーの担い手として大事にされ続けることは間違いない、と察せられる。
 だから、素人発想の極端形としての一案は、各チームごとに年齢構成を特色付けてしまうやり方だった。けれども、それは現実的ではなさそうだ。既存の条件として、各チームを各年代の選手が構成しているのが普通だ(大宮ベントスの場合も特殊そうでユースチームを育てているので浦和レッズレディースに近いし、現女子トップチームのベントスの若手お二人の身につけた凄さをベテラン、中堅に合わせさせるようにするというよりは、若手の技量の凄さをベテランならでは、中堅ならではの知恵で使いこなしてしまうことで、若手が更に技とか連係プレーに磨きをかけられるように工夫も出来そうだ)。ちふれチームや先の長野チームは若手がキャプテンを担っている。両チームとも、シュートに向けたボールを確保して以後のお互いがやり取りして決めるまでのお決まりの、だから必ずやる気になれば、しばらくは自ボール状態で回してシュートまでは点がどうこうではなくできる、そういうパタンをいつでも引き出せる形まで固形化して準備できていない感じだ。
 となると(技も展開アイデアも)強くてボールをなかなか奪わせてもらえないチーム相手では、ゲームが一方的になりがちだし、カウンターの機会も、強くなればつ強くなるほど、相手チームはそういう機会を簡単には譲ってもらえなくなるということで、気持ち的にもスッキリしないまま試合を終えがちにしてしまう。でも、そこは、仮に相手チームに覚えられて、邪魔され易くなるとしても、2、3つそのパタンを駆使できるようになれば(引き出しにたった2、3つ入っていればいいわけだから)それなりに相手チームだってどう組み合わせてくるかわかりにくくなるから、空きをつくれないことはない瞬間につなげられる。
 その絶好の好機を見逃すことなく、できれば精度良くシュートを狙えば、相手チームは動揺する。キャプテンはゲーム外での駆け引きにも大事そうだけど、ゲーム中なら周りに視線を配って、パスコースを指示しまくって、相手チームがちょっと戸惑うくらいのことをしたっておかしくない。
 大抵のチームはだから、パス精度、トラップ精度が若手主体チームよりは不得手のはず。
 だとしても、テンポで急(せ)かなければ、或いは(相手チームの圧とかで)急かされても動じなければ、パス精度やトラップの精度の不得手なところを補(おぎな)える。
 ワンタッチを含む緩急のパスを自在にこなすチームでの選手間の距離の持ち方とは違った、自分達のテンポに必要な距離を見つけておけば、事足りる。
 そうなると、若手主のチームがいつでも勝ってしまってという勝ちのワンパタン化に代わって、どのチームも際どく、強みを発揮しあって、若手主チームファンとしては穏やかではない女子サッカー観戦になってしまうけれど、女子サッカーは面白くてたまらないゲーム展開が続きそうだ。