連載は続く~ SF掌編『未来はサッカー家族』編


 未来のサッカー家族の場合、食事した後、だれが洗うの?でなんとなく気持ちがだらだらしているようなときに限って、洗い物のワレモノヲをうっかり落としてしまったり。
 ところが未来のサッカー家族ならばご安心、ということで、落ちる途中のワレモノ、椀の類を、足が優しく蹴り上げて、ほれ、我が子よ、それを受け止めて私に頂戴、と女親が、身軽なところをチャッカリ披露していたりする。男親とすれば、我が子に、自分だって・・の所を示したくもなるもので、アレ?お箸落としちゃったかな、とかワザと箸を落としたところが、もう一人の我が子がインターセプトとばかり、こちらも優しく蹴り上げて、しかも回転付けて、ハイ、とおぉちゃん!と浮いたのを取って手渡す。
 未来かぁ・・・ビックリだなぁ・・・・。

 余談はともかく、本日、Nack5スタジアムにてVENTUSとベレーザの試合を見て来た話。
 少々(一時間ほど)早めに行くと練習というか体ならしのトレーニングがどんなものかなど知ることができる。
 チームによって特色がありそうだ。そこらは実際にスタジアムへ行ってご覧になって確かめてください。

 現場で試合を見てしまう場合、選手たちはサッカーの場合、とりわけ現代のサッカーだと走り回るので、ひどく疲労していくのと比べて、そう活動的ゲームを見ているわけだからと素人老人的には推測してみたが、とにかく主審のピーーーーッが、えっ、もぉ終わり??どうしてどうして、と瞬間的には飲み込めないくらい、短時間に感じられた。
 選手諸氏の疲労度とは対照的にまったくいい気なものだ、の素人老人観客だったわけだが、チーム構成が際立ったもの同士の試合ということで、どういう試合展開とできるか、とか余計なことを想起しつつ観戦。
 VENTUSチームは2018年のU-20世代もわずかだし、2022年は33番の選手一人だけという、女子サッカー華やかなりし旧世代諸氏がパス回しでは必ず関わるチーム構成タイプだ。
 一方、2018年のU-20世代より2022年U-20世代が多く、試合構成によってはパス回しに必ず関わる年代を特定年代に限る使い方も可能なチームタイプと言えそうなのがベレーザチームだ。
 昔からの選手諸氏はタフだから、体が接し合うような場面ではそれなりに有効な知見を身につけていて、若手主流チームのベレーザの選手たちは、うっかりするとおされがちとなる。
 けれども、前半、VENTUSの選手構成では、パスミスが目立ち、それがベレーザに奪われる場合と、元気な状態で集中してボールを奪いに来るベレーザ選手諸氏の足技も関わってボールを奪われしまうことが重なって、ボールを回しているのはベレーザ、という運びが目立った。
 素人老人が何度も指摘してきた動いてパスが回る状態を生の試合中に見たくて行ったのだけど、それは中々見ることができないでいた。
 ベレーザチームの年代構成であっても、素人老人の観察から得られた世代別の持ち味の違い観をまたもや持ち出すなら、ボール扱いにおいて2018年U-20世代は相対的にそれ以前世代と相性がよい。止まって受け取るパスは奪われやすいというワールドカップ2023でも生々しく感じ取られたくらいに、それを肌身で感じ取れて、そういうタイプでのパスのやり取りを危険のない動きとともにでパス交換してしまう感性を身につけている世代かどうかという辺りを素人流の指標にしていて、その応用から、パスを出す時の相手との関係性が動か静かで一瞬の躊躇がありえてしまう。
 ただ生な試合運びを見ていて、ベレーザの若手選手諸氏においても、いつもいつも動的に先読みパスのやりとりをこなしているわけではない、ということがわかった。
 前半の終わりころだったか、ちょっとスイッチが入ったかのようにすばらしいバス回しを見ることができて、素人老人はニンマリ体験できたのだけど、それは小手調べ程度のノリで、その後、18番の岩崎選手が登場した後も、その手のスイッチは中々入りにくかったみたいだ。
 入り組んだタイプではない、数度のすばやいパス回しでのゴール前での攻めのシーンは何度か試されていたけれど、相手チームの守備の体系を抜き去るタイプでの巧みなパス回しの連鎖はこの日の試合では、その後起こらなかった。
 チーム年代構成ということでは、したたかさを上塗りしたようなレッズチームがVENTUSチームの構成が発揮する試合運びの特質をより濃くする。
 ベレーザチームはパス回しで相手チームを‟圧‟しまくる試合運びをしつつ、うっかりパスミスとか、レシーブの際のどうってことないはずが・・ミスって、でそれが相手チームの得点と直結してしまう場合をこのシリーズ(カップ)中何度も見ている。
 得点につながるサービスパスになってしまう。
 したたかなレッズチームと決勝とかで試合することになれば、とにかくそのしたたかさはベテランの持ち味なのだから、使い切るくらい使ってきて大変なことになりかねない。
 疲れ知らずは無理だとしても、パス回しのスイッチを逐次オンにして、ベテランチームが(とは言え、ワールドカップほかで巨体相手に鍛えられたU-20世代の中の一人がバックスにいたりする。ベレーザチームの若手諸氏も資金とか日程とか色々関係してしまうのかもしれないが、パス精度良し、走るスピード半端じゃなくて、巨体チームと試合をすることで自ずから育ちざかり年代が育ってしまうという方法を採れないのだろうか)反則しないで圧を加えまくり、パスが回りにくくなって気持ちが多少ダメージを受けて、その油断、隙(すき)を突かれてゴール前にボールを運ばれるとかが、若手構成チームの弱点ともなりかねない。
 世界の女子サッカーをいつでも頭の片隅でイメージできているなら、列島旧世代のタフさは、走るスピードとパス精度によって、簡単にすり抜けられてしまう時期になってしまっている。
 走るスピードよりもパスの方が早いから、パス回しに上達していれば、同様にパス回しに上達したチームが実力に見合ったライバルとなる。
 そういう多分、素人老人の空想以上にリアルな側面と察するけれど、本日の試合のように、相手のミスを見逃さずに、旧世代サッカーの定型の技を応用することで、若者たちの技芸の数々をなきものに一瞬だけでもしてしまうことができるあたりを、垣間見せてくれたわけで、レッズチームのような年代構成のチームであっても今年に関しては、勝ち抜く可能性無きにしも非ず、といえそうだけど、素人老人は2022年のU-20のスペインチームとの試合に感動させられた関係上、ベレーザチームやバラバラといった感じでしか構成人数には居なくて、パス回し相手は旧ノリ選手諸氏というチームの若手選手にも注目していきたい。
 素人老人観点からすると
 旧・2018・2022の構成が、ベレーザだと無理なく、2022年代間でのパス回しを、他の年代がフォローする形で可能にしやすいのだけど、2018・2022が同率だったり、旧と2018が多数で、2022がわずか、というチーム構成の場合は、旧世代ノリに合わせてのゲームの方が今日の試合観察からしても、無理なく、得点機会を伺えそうなことに気づけた。
 けれどもそれだと落とし穴が待っている辺りを国際試合念頭に、で描けそうだ。
 女子サッカーは女子が実際に試合していく中でつくりあげてしまえることなので、そこらは、素人老人が言及し過ぎてもまずい。
 走り回る90分は過酷だけど、観戦の90分は(身近で)短か過ぎぃ―だった、とまたもや身勝手なことを言ってしまいたくなるほど、本日のVENTUSチームとベレーザチームの試合は面白かった。(若手構成チームは仕掛けていく、(瞬間的閃きを含め)アイデアを試す要素込みで、といった辺りは指摘しておいて素人の思い込みじゃないと察するがいかが)

 


    川柳もどき

      試合後の夜の風情
      それなりに親子連れの姿も目立つ
      女子サッカーは子連れで見るには申し分なし
      そして将来というか、今この時代にサッカー家族が
       落としかけた握り飯、あぶなーい
       ラップにくるまれた足先が、落ちつつある握り飯をやさしく蹴り上げ
       子供は子供で、その上がってきた握り飯を頭で止めて構えた手の中に
       ストン
       もちろん、味は、うめぇーっ