連載は続く~ SF掌編『ワールドカップ女子サッカートーナメント観戦中その3』編


 テレビ観戦だとガッカリとかで片付くけれど、その場で試合を披露してくれていた選手諸氏の場合、勝てば一気に次の展開へ思いを馳せられるし、負けたらガッカリどころか悔しくて悔しくて(その内実も実力からして負けるはずない場面が巡り、また実力不足の場面も頭を過(よ)ぎり、どっちつかずの競り合いでの負けに通じたシーンなど尚更後悔を募らせたりで)どうしょもない状態に陥りがちにする。
 だからって愚痴ってどうにもならない辺りは子供たちの草サッカーの頃に熟知しているだろうし、失敗談をめぐる反省会にしろ何気に先が見えない話にしがちにするで、失敗につながる過不足について詳細を検討し合える機会を失しがちにしそうだ。一方で、当然、この先の可能性のための技術論ほかはたっぷりそのうち可能になる。気を取り直した頃になって。
 で、だ。チームを束ねる中央のバックスを担う熊谷氏がスウェーデンチームとの試合直後のインタヴューに答えて、攻めて得点できるチャンスも沢山あり、ほんの少しのなにがしが・・・という感じでそのほんの少しについて率直に語っていた。
 バックスがもう少し支えられたら、前でのボール運びがもっといい形で可能になったろうし、失点も防げた。と言う主旨で、負けゲームになってしまった実の辺りをズバリことばにしてくれている。
 ここらは、各選手がわだかまったままにしないで済む、率直な言葉発信(昔タイプだったらそうは言わないはずの新世代だからこその辺り)のように素人老人には受け取れた。
 その数少ないシーンでの失点が、相手のスピードと圧に対応できていない流れの中でのことだったから、そのまま前半は押される一方の試合運びのムードさえ招くようなことにしてしまっている。
 テクニックの上では、五分にボールを奪い合えるはずが、一方的にボールを奪われがちにしていた。
 パスの精度の違いは顕著(だからボールを奪えても回しきれなかった)で、そこらは、なでしこチームの課題と素人老人は見ているけれど、いいように攻めたてられるほど下手ということは間違ってもない。そこらは試合の入りに当たってのスウェーデンチーム各選手の実力とか準決勝というトーナメントの段階(勝てばベスト4になってしまう)を読み違えていたのかもなど素人流の憶測になる。
 問題の失点シーンは、ボールの方が好き勝手しているような状態にあるごく短時間になってしまって、そういう場合、子供たちの草サッカーで経験済のはずだから、体の持ち込み方によってでボールを支配するようにする。そこを、大人のサッカーにおいて、足蹴りごっこにしてしまって、だから隙だらけということで得点いただきでなんども得点してきた13番の選手がすかさず入り込んで一点にしていた。
 ヘディングとインサイドキックのどちらが精度いいかの個々の特性次第だが、ボールを奪われやすい形勢の時に、ヘディング返しで相手にボールを取られるというのも、芸が無さすぎる。
 体の違いも考えに入れて、ボールを落ち着かせること優先とプレーの都合のことを想起したくさせる。
 圧でボール回しを妨害して自分たちのボールにしてロングの精度良好のバスで得点シーンをこなしたい、というスウェーデンチーム各選手の思惑を、そう思い通りにはできないよ、の方で、ボール回しして徐々に苛立ちを誘う作戦に向かわせることも前半の早い段階でできたろうに、スウェーデンチームの仕掛けの方からなでしこチームが逆に苛立つようなことになっていた。
 実際、他の試合を見ればわかる通り、スウェーデンチーム各選手は相手チームの早いつぶしにあって思い通りが通じにくくて苛立つ。
 だから戦術の具体化に当たっての読み違いなのかなんなのか。
 早く、正確なパス回しと状況に応じたシュート他の芸の披露によって、いくらでも相手チームを揺さぶれる力量を後半はファンに向けてたっぷり見せてくれていた。
 ギアが入るという言い方に相応しいシーンが、今回、後半も差し迫った頃、という感じだったのが惜しい。

 日本男子サッカーチームが典型なのだけど、バックスを構成する選手諸氏は、バックスはそれは不要と思い込んでいるのかもしれないが、切羽詰まったシーンで一人抜きは当たり前の自信を持てるくらいの技量の持ち主になっていてくれると、追い込まれたシーンでもなんとか周りを見てとかコンマ秒程度前の周りの記憶を頼りのクリアないしクリアのためのパスとかを安定的にこなせるようにする。実際は、そういうタイプは少ない。以前話題にした板倉選手が浅野選手へ絶妙なロングパスをだすとかその手のバックスが出す常套のパタンとは違ったとしても精度良く、スピードもボール回転も適切というを瞬間判断から出せるバックル素質の諸氏がこれからは女子にも必要だ。ここらは体調万全のスウェーデンチームと五分に試合するには、どのポジションの選手もパス精度良し、トラップの力量良し、走力良しタイプでないと、他のポジションの選手たち(前の方で走力のある選手が無理を押して助けにくることを繰り返して体力を無駄に消耗するようなことにつながる。今回なら左ラインのパスの受け手としても頼りになり得点稼ぎ宮澤選手が多分、疲労困憊状態に陥っていたのでは)を無理矢理運動させることになりかねない。
 得点につながるシーンを呼び込むパスは精度が必須。だからそういうパスを出せる選手をもっと沢山育てられるかどうかは、スウェーデンチーム各選手の力量構成もいい参考になりそうと素人老人は押さえてみた。
 トリックっぽいパスは場数を各選手間で積んでおいて、お互い状況を読みあえる感じ合いが欠かせない。お互いの性格とかをお互いが掴(つか)んで、どういうケースではどう出るタイプかとかをお互いがイメージし合える状態。
 それを相手チームの各選手にもできるようにして多分試合は成り立っていると思えるので、もっとパスミスは少なくなってもらわないと、ヨーロッパ系の女子サッカーチームと五分の試合は難しい。
 体の使い方によって反則ぎりぎりでも相手のボールを奪うとか、思い通りのプレーをさせないとか挑んでくる場合の、体の使い方は一面頭脳プレーだから、頭とかアイデアについても相手チーム各選手のことを熟知していることが要る。ここらはプロチームだから既知のこととは思うけれど、頭を使うことも体ほかを使うこと同様忘れないでもらいたい、と楽しい試合観戦を好む素人老人はつい余計なことも言ってしまう。

 若い選手諸氏が体力もついて、多少の体格差程度は技と体の使い方でしのいでしまえるようになるのだから、今時のワンパタンな体力や走力で一気の精度良い攻めタイプで勝てる現ヨーロッパ系各チームの支配運び手法ももう少しで転換期を迎えそうだ。大体、内部的(各国各チームにおいて)に、体力も走力も足技と連係プレーもなでしこ並かそれ以上にこなす選手が揃(そろ)い始める。
 なでしこ若年層もだから体力・走力・足技(だけじゃないが)・体の使い方ほかを相当に成長させておかないと、(今は準備中、助走しているところか)次にやって来る女子サッカーの一流試合の水準での好試合に対応しきれそうにない。楽しみだ、と外野にいる素人老人は期待たっぷりに、待ちの状態。


 ゆっくり入ってくれたなでしこチームの試合の後の試合はどのチームもスピードで見劣りしない選手だらけということで、スウェーデンチーム各選手にとっては、錯覚して次の試合に臨む、ということだけは多分監督氏が避けたいところと素人老人は憶測で察してみた。
 だからどのチームにも勝機がありそうで、観戦中の書き込みはもう少しだけ続けたい。 一応スケジュール上は20日夜まで(NHKBS1中継あり)。