連載は続く~ SF掌編『ワールドカップ女子サッカー観戦中その7』編


 なんとスペインチームが優勝していた。
 素人老人観測はU-20世代主体ののチーム登場となった時のスペインチームはゲーム進行も面白いけれど、強いと見ていた。
 ワールドカップの生中継は終わってしまったけれど・・

 録画での観戦中。

 U-20世代選手の多くが決勝での圧に翻弄されるまで点を取って勝ってきていた内容に有意義なかかわり方をしていた、とすべての試合を見たわけではないのに、対スペインU-20世代チームとの試合からの推測から素人老人流の押さえ方をしてしまった。
 そのU-20世代選手の3人が今回のワールドカップ女子サッカーなでしこチームには出場していて、より多く関わっていたのが藤野選手ということで、U-20世代選手諸氏の技量については、藤野選手を見ればお分かりの通り、でいけそうと、素人老人は見た。
 もちろん、ごくわずかの時間のみ出場しての浜野選手については、シュートっぽいシュートを見ることができなかったり、使い方にも工夫できたのかな・・など、指摘できそうだけど、もう一人の石川選手に関しては、対スペインU-20世代チームとの試合では、物足りない場面も少しだけ見た気がしていたのが、今回のワールドな女子サッカーの場では、優勝経験を持つような諸先輩バックスの中で、それら諸選手よりも堂々としていて、パスを出すに当たっての受け取る相手になんらかの余裕条件をもたらせるような工夫こみで動いていた。
 ということで、U-20世代のアイデアやそれを表現する形としてのパスの性質や、身のこなしやについて藤野選手のプレーと絡めて、2,3例示してみる。
 これまでに引用したケース以外。

 対スウェーデンチームとの試合開始からの時間表示に沿って
① 場面はなでしこチームにとってのセンターラインよりやや自ゴール寄りの右側ライン寄り
 38:38 ボールを拾った藤野選手は右ラインが接線となるようなほんの少し回り込む疾走で足におさめやすく更にその疾走方向(弧を描きつつ、接線のところでまっすぐ行ってもよし、内側に弧を描くように切り込んでもよし(多分、こちらが空いている))の先の‟空き地‟を読んで、バスを出している。
 実際に清水選手が選んだ疾走コースは、迫る相手チームの選手に近づくようなコースを取り、相手チームの選手にとっての右ラインに出るかもしれないボールを追うのがちょっと大変になる位置関係と同様のボールとの位置関係を選んでしまって、
 38:44 でのボールを清水選手にとって落ち着かせにくいシーンとなっている。

 U-20世代のアイデアとその表現型での精度を、なでしこチーム諸先輩諸氏の精度といっしょにせずに、一応(宮澤選手がおっしゃっていたように)信じて素早く着地点へ突っ込んでみることも大事そうだ。

* プロでも草野球でもそうなのだが、フライの落下点は打った瞬間からごくごく短時間で読み取れるものだ。そういう連中がごそごそいるのが軟式だったり公式だったりの野球好きたちだ。
  サッカーでもボールの落下地点や到達点とかは蹴った瞬間の後のほんのわずかの時間内に大抵は気づいて動き出している。またそうでないと、簡単に得点される。
  多くの場合は走力(100m走とかのタイム)の違いが、点を取りやすいチームとそうでないチームを分けがちだ。
  それとパスの類の精度の違い。落下点は即気づけても、その落下点が、待っているところと違っては、取りっこ競争の場面の追加ていどの場面にさせてしまう。

② 場面はなでしこチームが攻めているゴール近くの右半分領域

 67:25 ロングパスをすんなりトラップした清水選手からの藤野選手へ絶妙なバスが届き、それを藤野選手がゴール前(右手前から長谷川選手・植木選手・宮澤選手)を狙って芝生面を走る(シュートしてねの)パス出し
 67:27 ゴールポストよりも右位置の相手選手に弾かれ、それが長谷川選手の方へ流れ、長谷川選手が(ホームラン性の)シュート

* ゴール前ということでは、植木、宮澤両選手が待ち構えていた。
  ここでも、U-20世代のアイデアを生かすというのであれば、ゴール前にだれが先に突っ込んでこられるか次第タイプの長谷川選手によるボール出しも充分に可能だった。
  ついでにこの時点で2点差となっているから、そういう得点確度の高い方への選択ができるどうかは、それなりに響く。

③ 場面は時間延長10分をもらえて、その終盤、ボールをインターセプトした清水選手が前方を追う相手チームの選手を走り抜けようと走り出した藤野選手へ向けてパス(8:41) 

 8:46 清水選手から疾走しつつパスをもらった藤野選手は一応2人の相手チーム選手を抜いた位置関係。その時点ではコーナーや右ラインが視野に入る向き。
 そこで藤野選手は後方を意識することなく、右ライン際にいた植木選手(だったから出してしまったのかも)へパスを出してしまう。
 ところが、空きの余裕とともに控えて浜野選手がゴール前に待ち構えていたし、先にゴールしていた林選手も走りこもうとしていたのだった。

 年齢的先輩位置とかが関わってかまってもらえなくなる年代とか関係性は追々来るとして、どうしたって勝ち負けも必ず試合ごとに通過することになる選手生活なのだから、U-20世代が主だったなでしこ構成チームでもしもフランスのオリンピックを任せられたなら(U-20世代のアイデアが舞うパス回しなりゲーム展開を試行しやすくなる。U-20世代の思いっきりのプレーをファンが見られる)、ケース③のような(消極的という意味合いから)凡ミスをファンは残念がる。チーム事情としてなら、色々なストレスが加わった時、余程声かけが必要なタイプか、結構ストレス慣れしてくれているタイプかで、大変な状況での挑戦的アイデアの試行を躊躇させるとか、余計な心配を呼び込ませかねなかったりする。


 素人老人の余談になるけれど、ゴール前に近づいて、シュートできるだれかが、妙に、ダメシュートしてしまう場面をしばしば見かける。
 そこらは、気の迷い過剰が即製で生じてしまった可能性大。
 そういう場合は、かつてそう名称のあったセンターフォワードタイプの我儘(わがまま)心が参考になる。
 ゴール前ではボールは自分のもので、他は邪魔しないでくれ!の心情の持ち主のことだ。
 ゴール前なら他は邪魔なのだから、狙ったところへ正確にシュートできるし、ボールは自分のもの、とくる。
 キーパーの駆け引きや圧力が、心理的にも邪魔にならない。邪魔だからどけの心持ちなのだ。
 そういうわがままは、自チームのだれかが丁度良いポジションでパスを得てまさにシュートという時にも、そのボールいただきをやらかす。そしてその場合は、シュートを外す。とんでもないやつだったりする。
 だからあくまでもゴール前の心配過剰に誘われないために参考にする程度の使い方が適している。
 オラオラ、ジャマだジャマだ、と遠慮しないでゴール前に侵入して狙ったところへシュート!がやりやすくなる。