連載は続く~SF掌編『話題はめぐる。ニュース報道など』編

探る、そう誘われている気になってしまったような探偵氏。
最近の流行り病について、素人ならではの推理に出たようだった。

実にラッキーだったんじゃない?と投げかけてきた。
君と私はただ頷(うなづ)くしかなかった。ただ一言、ラッキー・・って?
幸運だった、かも、って素人は推理したね。
確かに亡くなる人々の数はかなりだ。
でも、さ。病人が重症化しやすくて、元気な子供、若者はなんとか回復してしまうらしい。
そういうことが鮮明になっているか、あやふやな情報の状態か、それが素人に実に肝心なことと受け止めたよ。実情はどうやら病人に対してはきついウィルスだ。それにほとんどのヒトにとって、初めてっぽい、ってことだろ。だから罹りやすい。つまりぱっと広がりやすい。ニュース用語になったクラスター。その性質で広がりを追って、対応可能な量の範囲ならば、追跡して閉じ込めて、っぽいやり方は可能だな。でもだ、よ。裾野が広がり過ぎて、クラスター把握が中心近くではできても実際的な時間とか人手とかで可能な範囲を超えてしまっているとなると、もうクラスター把握して事態把握できてが有効に使えなくなる。そういう一種の暴走状態が、計り知れない悪化しやすい感染症相手だったら相当パニくるよ。でも、今回のはそうではなかった。ここらだね。俺が幸運だった、ってのはね。
だから、クラスター把握が感染拡大を制御するのに有効な状態かどうか、それを超えてしまった事態が進行中かで対処法は異なるじゃないの?そう推理したね。
それと幸運材料を踏まえるわけさ。
膨大な元気な連中に罹る分には、治るのを待てば済む。でも治るまでに、わかってない状態やわかってからも含めて出歩いて感染しやすい今回のウィルスをまき散らされては、クラスター把握どころではなくなるからな。出発点のだれかを知ってそのいくつかの段階のすそ野まで知ることができたとしても、手をつけられない規模になっていたら、ってことは想像できるからな。その時は病人とか体調が思わしくない人々のその先を相当に心配しないといけなくなる。統計上は死亡者数に即現れる。
でもって、だな、今回のことに関してはRK氏が盛んに発信していた薬剤名がそれなりに効くらしいという、最近のマスメディアニュース報道もあったということで、更に幸運というかだな、いいかい、仮に膨大な感染者が出ても、その連中がまき散らさないで済むようにより短い期間で治療に向かわせるかもしれないし、風と同様に症状を軽くはするけれど身体自体が治す通常の3、4日から一週間とかを掛けるということになるかもしれんけどだね、年寄りとか元気の弱体な連中にもその治療薬で症状を軽くできるかもしれない、っていうことになるわけだろ。
だから初めて出会うタイプのウィルス現象でも今回のような特殊なタイプの場合には、慌てずなんとかできる経路ってのが事情通諸氏には整理できてるんじゃないの?特効薬頼り発想はいただけないよ。そういう期待で走ることはよくない。でも効くかどうか試して発見するとかの経路は逆に大事になる。そしてそういう小康状態を保ちながら免疫がつく耐ウィルスのためのソフトな感染を上手にこなすこと。
病状経験が例外を含めて多くわかるようになれば、どういう感染が可能か、元気な連中にはわかってくるから、ワクチンのソフト感染を選ぶか、直に、どこかで罹ってもいいかな、なんていう免疫獲得手法もできる。その際に病人とか年寄り連中に害を及ぼさない確実な工夫が構想できるようでないと、トンでもな事態を局所的にも招きかねないからな。そこはほんと、注意してないと。おい、ほんとちょっとだけ若いあんた、少し整理してくれよ。


私:なんか、余計なこと言ったでしょ・・・。
探偵:なにぼやいてんの、早く!
私:じゃ、・・・。今回のは初めての、だから、だれもが罹りやすい。そこで、乾燥した空気の季節の野焼きのように簡単に広がりやすい。その規模によって対処方法は異なるんじゃない、ってことだ。そして、今回のはもう一つの特徴として、体調が弱体な人々には致命傷を与えやすいけど逆に元気な連中には軽症の状態で回復に向かわせ恐らくは免疫を獲得させる。感染したとして、症状を緩和させるらしい薬剤がいくつか出てきた。拡大は弱体な人々への広がり可能性にも通じるからそこを制御しながら、並行して感染した人々の状態へ薬剤での治療もできる。そういうある程度コントロールした状態を保ってワクチン開発に間に合わせるとか、治癒した人々の免疫獲得に委ねるとかでヒトの世の健全性が徐々に回復していく。関西のライブハウスがクラスターの中心か、もらっただれかがそこで新たな中心になったかした事例がニュースになってたけど、インフルエンザ流行のように弱体の人々をどう守れるかの慣れた発想ができるまでは、人為の制御が効く。学校休校はインフルエンザの時に常時適用すれば、相当量の弱体な人々の感染を制御できるけれど、そこまでは流石(さすが)にやってきていない。今回のでも話題になっているけれど経済活動が停止してしまうので、そこらとの相談も要る。我慢比べとも言える。初めて性が濃い場合は、我慢し過ぎくらいでないと、広がる。広がらせ方に工夫が入って弱体な人々への感染をなんとか制御できれば、それはそれで成功事例にできる。もっと悪性のが流行りだした時、どうできるか、とか一般にとってのとりあえずの我慢とか情報をどれだけもらえるかとか、大事になりそう。窮屈に我慢、という事態だけは避けたいよ。
君:探偵さん、言ってなかった付けたし、探偵さん、それでいいの?
探偵:言わせとけば・・。甲乙つけがたし、ってとこかな。
私:素人、って言ってなかった、探偵氏。
探偵:あんただって、そうだろ?・・ところで、お茶、飲みたくなったな。あんたいれてくれよ。
私:キミも、どぉ?
君:じゃ、それ飲んで休んだら、少し、散歩しましょ。
探偵:えっ、なんか面倒くさい。
私:折角の提案じゃない。
君:いいのよ、いいの。でも探偵さん、じっとしてるより、少し身体を動かさないと・・。
探偵:ふ―ん、そうね。あんたの言い方だとうるせぇ、ってなるけど、お嬢さんのことばはすんなり入ってくるよ、うん。
私:オジョーサン??
君:なによぉ。いいじゃない。
探偵:もめるように言ったわけじゃないから・・。穏やかに、穏やかに、ね。そだ、外で飲もうよ。そうしよう。3人で、さ。
君:賛成、出ましょ。散歩よ。
私:すごい展開。ついてけねぇー。って、ことないから。よろこんで。
探偵:おや、素直だね。
君、探偵:くくくっ。