連載は続く~ SF掌編『(すごろく発想においては)騒々しくはじまった今年』編


 介護の業務でも深夜帯での仕事をしたことのある諸氏においては、非常時の避難とその直後から生じているはずの制約下における介護の継続とかそこらのイメージを、いかに的確にこなしうるかの方向性から想起してくれそうに思える。
 そんな話題を持ち出したくなったのは昨日の能登半島での大きな地震災害が報道されたから。
 正月ということでその気になれば逐次状況変化についての報道の数々を押さえながら、事態の推移を追うことができる。
 気象庁地震情報発信の方も、震度3とか4とかの震央や各地の震度分布などを図によって生じた順に次から次へとごく短時間に表示し続けていた。

 事態の推移の方では、津波計が故障したからか原因不明のまま、肝心の輪島域での津波の状態の推移を追えない状態をかこいつつ、規模は小さくなったものの地震が続いて、津波への警戒とそのための発信は継続していた。
 以前の台風19号の時に、水が出たらどうするといいかなど深夜帯に軽めの頭を目いっぱい働かそうとしていたのを思い出せる経験からして、地震の際、どう対応すべきかについては多くの諸氏が有効な策をおしみなく発信してくださっているのだけど、そして素人老人的にはそれに沿った、実際にはそのうちのいくつかをより採用するようにして具体的ななにかにしつつあると思い込めているのだが、地震で避難、に、プラスして、とにかく早く高いところに逃げなさいで、追い立てられる地元住民諸氏においては、日頃から緊急避難用品のワンセットやついでに持って出ればそれなりに役立ちそうな諸々を、どこにおいたっけ?とかにしていない実力すら試せる機会にできたはずなのに、忙(せわ)しなく、退避しなきゃ!となって、家を出ることになった膨大な諸氏というリアルっぽさをなんとなく感じられるような報道からの事態推移を追っていた。
 あるところでは、体育館とかその類の施設が、3つくらい近くにあって、そこへ400人、400人、800人の3組の状態で避難場所にしていて、緊急ということで握り飯が300人分持ち込まれた、と報じている。実態を踏まえたニュースコメントも付加されて。
 各地が災害時の避難場所に困らないよう工夫されてきたと察せられるので、それでも、指定場所が決まっていたとしても、緊急ゆえに、それだからこそ、より逃げやすいコースの最短のどこかに人は集まりやすくするとも考えられるから、これまでの被災経験諸氏が語ってきたように、避難場所はすぐに溢れてしまうだろうし、緊急の水や食料はそういうところへ届きやすい。あふれ出てしまったより多くの人々にとっては、使い勝手の悪い状態を被(こうむ)りやすい。そこらも含めた、自前の緊急避難用品だったはずだ。
 介護施設の事情も報じていて、医療的な介護のなんらかも担っている施設では、停電が招くすぐ先での大変な困難について、援助を求めていた。自家発電用の燃料が一晩程度で無くなってしまうとのことだった。
 暖房もいまや電気一辺倒のようで、発電に使う燃料次第、ということだった。
 介護施設の場合、火災を避けるために電気依存度が非常に高くなる。
 ぎりぎりまで収容した避難施設であっても水や電気やがないとたったのトイレ事情であってもすぐにパンクする。
 個々で工夫して避難していても、緊急時避難用品抜きでの退避だと、固形化して黒のポリ袋にポイ方式は使えない。
 だから停電や断水やが生じると、たちまち、介護施設の住人諸氏も公(おおやけ)の待避所に逃げ込んだ人々も、また個々に工夫して、退避している諸氏においても、水分こみの排泄物の物量に数日後には悩まされる事態に突入する。
 それ以前に、停電が、医療のなんらかを作動できずに致命傷をもたらしたりも起こってしまう。
 ただ若者たちの中には、うるさいことを指摘されつつも、自分流を通して、今時のアイデア商品の数々のうちの緊急避難用の品々を身近にして、急場においても、それらを持ち出して、大変な状況下、自分流で当面をやりすごそうとしている諸氏もいておかしくない。
 通例ではとにかく最初の一週間を公的な援助も含めて、工夫の中、耐えきる。するととにかく電気は通るようになるから、今時の電気製品で溢れる各家庭事情において、それなりに利便を使いこなせるようになる。
 ケチった水の使い方で水不足をしのぎ、食糧は、意外に、援助系が作動してくれるので、そこそこの栄養をかなりの初期から得られやすい。飢えは気持ちまで粗くするから、食う、だけど食えば出す必要が生じるのだから、その出たものの処理は、流したり、運び出したりの循環が復活するまでは、キャンプ用品、山用品の出番だったりする。固形化させて、ゴミ袋に詰め込んでおく。個々での管理が充分に可能なやり方になる。
 探し物をしていて、間違って手を突っ込んでしまう、ということがない工夫は要る。
 道路の寸断が事態を面倒にさせてしまうが、地元の知恵で使える当面の通路についてイメージとしても共有しておけるなら、それなりの利便を生じさせる。道案内板を時間潰しに設置することも大事だ。
 重機が入って臨時の整備状態ができてくれば、それがメインの通路となって、流通は段違いに良好となる。
 介護、医療の各現場で日夜延長戦で張り付いていた諸氏の疲労はもうピークを超えたころだ。だれかたちが交替に向かう。多少のネットワークを持つ規模の経営ならば、それもかなりの早い時期から対処できそうだ。こじんまりとやってきたところは、そういう時に代用がきかないかもしれないから、ボランティア他、介護を担える充分な素養のあるだれかたちに頼むことになりそうだ。

 しかし、能登半島の出来事が、関東圏でも相当に長時間揺れるような地震となり、報道からはごく浅い震源と当初出た(やがて16kmになった)。その後の地震の多くが10kmだ。
 しかも震央は、かなり散らばっている。
 直下タイプで、地元への激な災害をもたらした。
 ただそれだけではなく、津波の広範な影響、近隣の県各地にも被害を出している。
 そして関東圏でも記憶になっているくらい、この1,2年地震話題を提供してきていた。
 ヒト社会においてはそうであっても、大変な被災状況となってしまうようだ。

 ネットにて能登半島での地震と関わる地質面での研究・調査はどうなっているのか調べてみた。素人老人方式なので、目立ったのを引用するだけ、程度なのだけど、それなりに、知見を得られそうに感じた。
 たとえば、能登半島ではそれなりの規模の地震を忘れさせない頻度で生じさせてきている。
 津波への心配・関心も継続的なものだ。
 とはいえ、識者によるコメントで、少しだけ具体的に今後への参考にできそうかな程度の内容さえやっと本日、1月2日になってのものだった。1月1日時点でのコメントは、うかつなことは言えない抑制のかかった、専門で(歴史的に能登地震や地質やに)事情通のはずなのに何を言いたいのかつかみにくい類が目立った。

 以下、参照できた2つの資料

 能登半島の地形・地質構造と能登半島地震の断層運動
 http://earth.s.kanazawa-u.ac.jp/2007_notohanto-earthquake/2007_notohanto_earthquake_report/report_top.html

 産総研
 海陸シームレス地質情報集「能登半島北部沿岸域」(平成22年2月26日出版)
 https://www.gsj.jp/researches/project/coastal-geology/results/s-1.html

 


    川柳もどきにしたいところだけど、地震情報の報道を追っていたら、なんと羽田での大事故。
    海保の諸氏の無事を願うが、どうだろう・・・。
    その一方で、火を噴いた日本航空の方は、乗客数百人、乗員十数人が無事に避難できたらしい。
    ここらは介護担当が深夜の避難を空想できた時を想起して、あっぱれ、と感心させられる。
    報道のアナ氏もことばにしていたが、ごく短時間で数百人を無事避難させられる誘導術は凄い。
    恐らく、千差万別のお客諸氏相手だったはずで、介護現場のお年寄り諸氏の千差万別と五分だろう。
    だから騒々しい話題で始まった2024(令和六)年なのだけど、タイサッカーがコンビネーションを鍛えこんでくればそれなりの強豪になりそうだし、国際的チーム間での興行という面では有意義な試合を見ることができたし、大地震の際の未だ見落としていたことを集団の営みにおいて、再認識させてくれる(大変な事態とは思うけれど)ありがたい発信になってくれているし、それに加えて、海保の諸氏は心配だが、見事な連繋(れんけい)だったはずの避難援助の実技を想起させてもらえるノリのあたりを受け止めさせてもらえたしで、素人老人的には、地表面的にひょっとしたら色々いい意味での工夫を見聞できそうな2024年かも、など目測しているところ。

 *すごろく(双六)発想は適時、ある種のリセットから出発を繰り返す。
  もう一方で過ぎ去る時間相手の発想、ビッグパンとかを発想する場合とか。