連載は続く~ SF掌編『能登半島は定住を続けられる』編


 たとえば源氏物語を現代語訳して読める列島事情をかつてなら喜べたはずが、今時ともなると、そう簡単ではなさそう、という感じで受け止めがちにしてしまう。
 紫式部個人作で源氏物語を論じることは過去にもあったかどうかだけど、今では、まずそういう事は無くなっていそうだ。
 ところが固く個人作と信じた現代語訳者氏が情熱的に訳して現代語訳『源氏物語』全何巻とかで出版され、それを歓迎して、情熱的に読み通した読者は現代語訳版の個人的一貫性から源氏物語紫式部個人作をまったく疑うことのない読者になりかねない。
 などという話を思い浮かべがちな老人の暇つぶしの頃、録画の番組もながらで聞き流していたところ、どうやらモビリティと発音される外国語が流動性と訳されているらしい場面と遭遇。
 モビリティとセキュリティがある概念に当てられて語られているシーン。
 素人老人年代からは流動性とくればの辺りに固定観念っぽいのがひたひたとしていたため、ネット上では今時のモビリティ(mobility(とsecurity))がどう翻訳されて流通しているのか調べたくなった。
 すると、可動性とグーグルでは単刀直入、出てきた。
 mobility+security で今時ビジネス利用されやすい巨大メーカーのソフトも検索のごく上位として登場してくれた。
 現代っ子でPCを使って実務に日々励むどなたかが翻訳された結果なのか。
 そんな感じて受け止めて、一応落ち着かせた次第。

 日々、ワールドニュースを一定時間、はじめから終わりまで見る習慣を続けているので、時々だけど、それが参考のために役立つ。
 多少物騒な話題の方でスエズ運河経由の海路が話題になった。
 ワールドニュースでは去年だったかに話題になっていた。
 取材記者が遠回りだから費用もかさむのでは?と問いかけると、船を操る側の現場経験者氏は、そうねぇ・・・遠回りになるけど、運河の入管でかかる費用を考えると、むしろやすくなるんじゃないかな・・・。それへ更に問いかけが、日数がかかっても?と。日数分を差し引いても安くなる・・だけど日数分遅れてしまう、との答え。
 ちなみに、今ネット検索してわかった範囲では、TEUという単位のことを諸氏においては簡単に調べられるので調べていただくとして、5000TEUのコンテナ船で一回の通行に数千万円かかる。
 大きな船会社は年間数百億円は支払っているようだ。(単純に10便で億円になってしまう計算)
 素人考えからすると、リレー方式に切り替えれば、遅速調整可能だから、新鮮な果物輸送ではなく、長持ちする品々に関してなら、数珠繋ぎ方式で遅延しない海上輸送方法も十分可能と見る(船と船の間隔を狭めるため船数がより必要にはなる)。でも、長期化させることのリスクというのもありそうだから、そこらはあくまでも素人考えに過ぎない。
 大雑把に列島発ブロードキャスト系のニュースを眺めた限りでは、そういうちょっとした観点を採用したニュース記事の採用はわざと敬遠され続けていた感じで、そこらがニュース報道の質的土地柄差に響いてそうと、言い切っていいかどうかは問題あり発言になるけれど、年初ということでお許しいただいて、ことばにしておきたい。

 個人的には段々能登半島地震の話題に近づかせてこられた気がしている。
 ブロードキャストの衛星放送がちょっと頑張ってくれて、石川発のニュースを流し始めた。ニュースの時間帯で始まったものが、徐々に他の時間帯も番組を流すようになったけれど、忙しい日常の長良で見るタイプの娯楽番組も流し始めたので、素人老人的には地震のその後をリアルタイムで知りたい関心から、もったいない使い方と見なしながらも、つい見てしまっている感じ。
 列島各地が大地震に遭遇して、それなりに経験を積み上げつつあるものの、土地土地の事情から、それら貴重な知見を継承しきれているかどうかは、様々の段階のようだ。
 石川県の知事氏からして、体が丈夫ではないのかもしれないが、現地に暇はないとは言え、直行して、直接体温とか顔とか、汗臭さとかを感じ取れる距離から激励しつつ巧みに事情の細部を観察・見聞してしまうことをなせるはずを、どうもできていないまま、管制塔役をこなしていいる感じで、氏の発言として、中央から頭脳役のセットが来ているらしいのだから、サッカーのネット放送っぽく秘書をそれも、レンジャータイプでPCもそこそこ使いまわせてしまうタイプを同伴して、役所の頭脳グループと逐次連絡を取り合いながら(だから情報共有上の時差を極限まで減らせる)知事自らはリアルタイプでの新規情報収取まで可能のみならず、能登の復活をめざす知事氏の思惑に必須の地元民への意欲注入の何がし役にもなれて(猪木氏パフォーマンスに近い)、これから続くはずの長丁場にちょっとだけ端緒すら提供する機会にできそうな辺りへの嗅覚のありやなしや。
 その放送中に寺山地区が映し出されていて、とにかく道が土砂崩れでむちゃくちゃだった。
 地元の人々が他に当たって通り抜ける状態ではなくなっている。
 もうここには住めないかも・・など(素人の老人年代的には)がっかりするようなことをことばにされている。
 その気持ちにダイレクトに働きかけられるのは、体温、体臭とともに激励に駆け付ける人々が認める‟権威‟筋だったりする。一応知事の立場の人物ならば、反対派だろうが賛成派だろうが知り合いのうちだ。
 隆起の特徴から数千年に一度くらいで繰り返されてきた能登の活動と見なされているようだ。
 ということは倒壊した上時国家住宅にとっても寝耳に水のような事態だったことを想像させる。
 だからと素人老人のいつものノリになってしまうが、この時点での激しさに気持ちを揺すぶられ過ぎることはない、と端からは指摘できそうに思える。
 これが起きたということで、これからも土地特有の揺れを体験されるかもしれないが、今度のような規模の隆起を伴うタイプの変動は数千年先と大雑把に推測させる。
 ただ地質の方の知見として、見た目段々になるように隆起してきた過去の頻度と一回分について一回が(ある程度の時間をともなった)数回の激震の結果なのか、一度の激震の積み重ねなのかの辺りは明晰に示せているのかどうか。
 そこら明解ならば、これからの住み方に大いに参考にできる。
 それにどういうタイプの地震かを経験済だから建物設計の達人たちが費用にも無理のない範囲での具体案を必ず今の時点で提供してくれるはず。
 この土地を熟知した諸氏が、今後の日本海域の発展を期して少なくとも住み続ける意欲を復活・賦活させてくれることは、列島の賑わいにとっても好都合になる。
 一つ、先の番組中、不思議に思えたのが、住宅の耐震性の話に援用させがちなネット記事に反して、なんと!!!ほとんど墓石が倒れずの墓地映像を映していて、その周辺には崩れた建物も崩れずにいる建物も映っている。
 石を組み上げただけで、大き目な地震のたびにその崩れたり、倒れた死した映像が馴染みやすい墓石が、そうではく、地震がなかったかのように屹立している様は、対照できる全壊の建物と、地震のなにかしらを思わずにはいられない映像となっていた。

 


   川柳もどき

    かつてNHKラジオにて甲南大の奥田氏は
     いつでも担いで持ち出せる緊急用リュック様のものの準備を
     本気で!と強調しつつ怠らないでねと指摘されていた。
    そして一人一日3リットルは最低でも要るから
     と
     すればありがちな2リットルボトルの水の3本を
     二日間で使うペースになる。
     隠し味で必須なのが、ヒトの生理としてすぐ飽きる
     のを踏まえて
     日頃、続けていても飽きの来ない嗜好品で水分、食を用意するといい
     らしい。
    同じ神戸の経験から料理研究家の坂本氏はそれに加えての情報になりそうだが
    NHKラジオにて
     援助の食は大抵、飽きてくるというより、食すのが苦痛になってくるタイプが
     多いので
     いつもの食事により近い食材でいつもの調理にちかい主食、おかずにして
      もらいたい、ものですね、とおっしゃっている。
    発酵研究家の小泉氏はといえば
     梅干し(気持ちを落ち着かせる)、納豆それも乾燥もの、乾燥酒粕、乾燥麹(こうじ)、蛋白源に
     塊の方の鰹節、それに
     羊羹・・カロリーが豊富と強調されていた。
    装備の方は、繰り返しになるけれどキャンプやハイキングや
     で山用品に馴染んでおくと必要な品々を直観的に揃えやすくしそうだ。

    時系列(大地震後)
    はじめの2,3日
    一週間目頃(今回の能登では回復が遅れている電気の回復期)
    一か月後(そろそろ上水道・流通が動き出す)


 など川柳風で終わらせられなさそうと気づく。
 今や能登半島域でも水洗のトイレが当たり前になっているようだ。
 だから上水道と下水道の流れが両方セットで修繕されない限り、円滑に住民が使いこなすわけにはいかない辺りにきづかされる。
 話題にできるようで検討課題のテーマとして表ざたにしづらいかもしれない数々を、これからは事前に、その代用には何が使えるか、何もない条件下での工夫のしどころの辺りをアイデアを持ち込み合えれば、結構、ヒトは観念系だから、アイデアたっぷりの論を成したりするものだ。
 今時は海外出稼ぎ勢も沢山おられる。慣れないごった煮的集住の中でもストレスをため込み過ぎない工夫が場合によっては要るかもしれない。ヤマモリトイレに度肝を抜かれて退散・・・してはみたけれど、いくあてもなく・・ということは避けたい。
 人手次第では穴を掘って捨て場代用、という手もありうる。
 地元諸氏は雪を溶かして水を代用させるくらいはやってのけておられる。
 ただし燃料問題だ。神社行事のようにごしごし木の摩擦熱で火を起こしてのようなことまでしなきゃならなくなる場合はそうするしかない。
 種火を消すな、のような場合は、火事に厳重な注意が常時必要になる。
 キャンプ、登山用品に慣れてくると、寒さ耐性の衣類選びを少しだけ高価なだけで丈夫で長持ちもする寒さに耐える衣類を探しやすくするから、万が一に役立てやすいし、上下、アンダー系、靴下とか手袋とか、寝具とか様々の利用分野への発想もごく自然に出てくる。もちろん、非常食用にも、登山なのだから揃っている(ただしシンプル過ぎるものが多い)。お手軽調理用品も揃えやすい。
 ただ電気が通るようになれば、上記坂本氏の指摘だけど、IH系調理器具が重宝するようだ。
 ごく初めの2,3日間では小型ガスボンベを使える燃焼系が大いに役立つ。
 今時は湯沸かしコンロにも使えるそのボンベを使うガスストーブも出回っている。
 上記番組中、車いすのご婦人が登場。地震以来、寝る時も車いすの生活が続いているとのこと。
 NHKが放送していた一般向け青山介護技術すら普及していなかったようだ。
 現場にいまは施設介護を辞めてしまわれたようだけど高口氏タイプが孤立現場に出向ければ、要医療状態になるまえに多少の元気をとりもどせる試行錯誤もありうる。素人衆を集めて、簡易介護術教授を短時間で成し、実地のところで検証兼でお年寄りの面倒が見られるようになる。やる方が腰を傷めずに済むのが青山流だから、そこらが検証される。すると意外に同年代の元気もの諸氏が簡単に要介護老人を移乗程度ならなんなくこなしている様子を取材陣、うっそー、くらいに驚くことになる。
 とりあえず介護知見豊富なベテラン諸氏ならプラスして衣食住について、できることをその限りでなんとかやってのける。そこへボランティアの床屋さんなり美容師系がやってきてくれたりすれば、少しだけ落ち着いたころのやりきれない気持ちを一瞬スカッとさせそうだ。髪を洗い流したいと熱い風呂にその後入れれば、もっともっといい気持ちになれそうだ。
 そして湯上りの一杯とかの機会があれば尚更だ。
 地質知見が数千年に一度の数m隆起の現象を、今後の予測としてどう落ち着かせられるか、そこらも定住を続ける気にさせるかどうかにある程度目安となってくれそうだ。
 火山地帯にはすぐに集落が構成される不思議からして、ヒトはいつまでも心配し続けないことも知見にできる。