連載は続く~SF掌編『ついサッカーの試合を話題にして』編




私:3つ話題、用意してきた。
君:と、いうこ、と、は、話・・長い?!
私:かも、しれないし、羅列に終わるのかも。
君:とっくに仕事モード、よ。聞き流しで良かったら、どうぞぉ。
私:そう、来なくちゃ、ってことで、早速。
君:・・・。
私:考えてた3番目から行く、ね。サッカー。1試合目は見てない。2試合目、オマーンチームとの試合を生放送してたの見た。で、雑な試合運び、という印象を強烈に持ってしまった、大丈夫?って感じ。試合後に詳細は省いてたけど、原口選手がそこらを率直にことばにしていた。即コーチにはなれそうだ。でも実際に動いた試合でそれを踏まえたチームの動きにしてもらいたい所。非常にボール扱いの上手いフォワードの選手がいたのだけど、最後のシュートの時に抜け目のなさっぽい意欲とか精度とかにつながるトラップの精度意欲っぽいのが欠けていた感じ。足技からして、それをできるはずがしてない感じ。先ほどの全体的雑な感じってのは、たとえばたまたまお一人の名前を出してしまうのは既に超有名人で素人の持ち出しくらいではびくともしない知名度の人物だから、ということでと断っておいて、長友選手が後半の後半時間帯に自ら防御で動くか、牽制程度の動きは可能な範囲に居たのに、次の展開に備えた守備のポジション取りを優先した動きでそこを対応してたんだ。だから一見、セオリーに応じたしっかりした動きで次に来るシュートとかの危険回避に備えたことで実にいい動きをしてくれた、となるのかもしれないけれど、素人的にはできることをする事前の動きで相手の動きに変化を生じさせてこその次の展開、という観点を持ち込んで、だからこの試合も雑に映っていたのではないか、と思えたわけ。次の展開はこの今の関与次第でどうにでも動く、そういう動態対応こそがゲーム勘ってやつで、ワル知恵にも近い直観的関係性のやりくりがスポーツ的に読み合って動き合ってみたいなことが起こっていて、その直接か間接かの距離よりも遠いところの選手たちが要所を補完して、しかも動態対応できているのが、プロ水準のはずで、事前に予想出来てセオリーの位置に居るからって褒(ほ)められるものじゃない。オマーンチームの精度がちょっとばかり緩かったから点にならなかっただけ、原口選手辺りはそこらも込みで指摘していたわけだ。プロの技であり、合わせて興行でもあるのだからずば抜けたプレーを見ることができて当たり前、とも言えそう。
2番目は農業のこと。列島版の場合、倒産という新陳代謝機能に依存しない持続的企業活動を目指されている気がするので、農業の企業的営みについても、そこらの観点は要る。それでも農業には長年月営んできた蓄積を無視できない。篤農家っぽい頭を使うことを厭わないタイプたちが居ても農業の担い手は減少してきたから、今時の様、となっているとは思うけれど、ここらはそれなりに個々の農家で頭を使って工夫して後継者につなげてこれた農家が参考にはなるのではないか。色々な業種で列島に限らないかもしれないけれど、後継者作りに失敗して、大変なことになっている。個々の人生にとってはきっと深刻だ。ただ(金銭的な)資産の相続だけの後継者になってしまう。国民国家批判、官僚批判など、ここらの見誤りを見透かされてのものじゃないか。だから見誤りの起点を今からでも遅くはないから反省して、軌道修正に打って出ることも必用だ。ただ、大組織病は確かに昔から指摘されるヒトの癖には違いないけれど、大災害、広域災害の時に、分散の資源系のネットワークはその現状の性質からして、今ほど対応力は無いと素人は心配してしまう。各企業活動の自由度に目が行っている試行錯誤に見えている。その時には現状なら、工夫してきた方の官僚システムなり、大企業ゆえのネットワーク、企業グループ間のネットワークなどが機能しやすいのではないか。そこらはいつも市民の側が油断すると、同じ市民が従業員のはずの企業や行政に腐敗が生じてしまう。農業の継承性には様々にヒトが体で覚えてなんぼの膨大で緻密な知見が含まれている。だから頭も面倒くさがらずに使えるタイプたちが守備範囲も可能性としては広いはず、と一応は指摘しておける。しかも、土地土地で土地の全体を見晴らして世話をやけるタイプたちが育っていたのが、所属の成員が少なくなるとかやる気にも響くし、切磋琢磨できるような似た仲間も減るしで、好循環ぽさとは逆の傾向が生じがちなのではと察してしまう。働き手の余剰があるならそれこそ幸いと必要な仕事に振り分けられる開拓力が問われる。そのはずでヒトはずっと工夫もしてきたはずなのだけど、今時は余剰は余剰に通じてしまうだけのようにも映って、本当にヒトの生活が必要としている仕事分野はないのか?と錯覚しそうだけど、介護の仕事をしている素人からすると、とんでもない、とハッキリ指摘出来てしまうわけ。で3番目・・。
君:なぜ農業のことにこだわったのか、その辺が、もう少し、説明、ほしい、かな。
私:ニュースで、外国から農業を習うとかではなく、まったく農業を仕事場にする人たちが沢山列島には来ていて、その人たちに支えられているのが無視できない量になっているらしい。だから外国からもっと、っていう文脈は説得的じゃない。列島でついこの間までの農家とかの様を見ることができていたぼくなんかからすると、とてもじゃないけど、後継者が育たないことの深刻さに、国の組織は鈍感(どんかん)過ぎないか、って思えた。でその先のこととして話題にしてみた、の。
君:なるほど・・・今は農業の姿見ないまま、スーパーで農産物買ってるから、ニュースで初めて、今の事ってわかるの、ね。東京圏から遠く離れたところの実情って、同じじゃないって、こと、ね。・・・そして3番目。
私:キミ、興味ないかも。でも話す、よ。聞き流してもらって結構。きょう、この今のキミも素敵さ。
君:なによ、3番目の話、すればぁ。
私:アポロ11号の話。月着陸してなかった、っていう話。
君:好きね、そういう話。時間つぶしに聞く、わ、よ。
私:最近、宇宙飛行士が地球に帰ってきた時にバランスよく歩行できないことの原因に単に体力とか筋力が関係すること以外のことがわかってきたみたいなんだ。バランスを保つ感覚系に変異が生じている。そこを調整してやらないと、上手く歩けない。筋力も一週間とかくらいですでに影響が出始めるのだけど、研究によるとバランス感覚の変調は5日目くらいから生じてくるらしい。アポロ11号は2週間ほど宇宙を漂って帰ってきた。だから海に戻ってその中から逞しく出てボートに移るなんてのはそれなりに大変な作業になる。ここらはデータからの推測に過ぎないけれど、今時は率直にデータが公開されているから、映像的にも数年前のNHKの宇宙物番組で当時のソ連の帰還した宇宙飛行士のフラフラ状態を撮った映像も紹介されていて、だから当時既に、ソ連の中の率直派というかリアル系は合衆国の無謀な演出に一応意見表明してたんじゃないか、な。ただ、今は、宇宙系の人々においてはNHK映像のようにオープンにしてしまっている。行った方の報道が多すぎて、これからの若者たちが勘違いのまま育つことは危ういとは思う。そこは啓蒙系の工夫が要りそうだ。でも研究データをオープンにしながら実は・・の所を率直に認めあうようにして衆知にしていこうという方向性は見えてきた。月面での様々のトリックをどうこう言うのはどちらが本当なの?的話題にして若者を混乱させるけど、宇宙飛行士の長期滞在(それが週間単位だろうと)によるヒト身体への影響がリアルなことに啓蒙頭で応じられていれば、そこらのデータがオープンになっていることで個々の頭できっとしっかり押さえてくれる。宇宙線のこともそうだと、思える。宇宙線の量は他の場面でも結構致命的に地球に作用することは丸山氏の知見紹介だったし(NHKラジオの教養講座と放送大学の授業放送は必聴・必見、今でも。考えるたたき台にできる)。
君:私、残念ながらアポロ11号のニュースはリアルタイムでは見ることができない生まれなの!
私:そこ、強調する!若いって・・・?くくっ。
君:なによぉ・・。若い、もの。いけない?
私:いいんじゃない・・・言うだけ、なら。
君:そこね、それ、余計、じゃない。
私:つまらない?ことば。
君:そうよ。話、途切れさす、わよ。変な、こだわり。
私:原題がゲットスマートっていうギャグっぽいテレヴィドラマ、その昔よく見てた。
君:で?
私:『それ行けスマート』だったかな。スパイ、どじなスパイ。と女性パートナー。
君:うん、それで?
私:アン・ハサウェイ氏の出てた『ゲット スマート』はそのノリ。
君:私似の、ね。
私:そっ。その脚本に参加してたのがピーター・ブルック氏とか錚々(そうそう)たる有名で実力派の諸氏だったことをネット検索で先ほど知ったばかり。
君:そういわれても、私はピンとこないわ。
私:刑事コロンボシリーズの第一回目『殺人処方箋』('68)にはなんと『バークにおまかせ』のジーン・バリー氏が一方の主役で出てた。テレヴィドラマというよりは映画一本撮るくらいの意欲が感じられる作りになっていた。しかも映像が今でもキレイ。びっくり。
君:話、少しだけノスタルジック。あなたが言っている番組、すべて私が生まれる前に放送されてたんでしょ?
私:言われてみれば・・・。映画の『コラテラル』からマイケル・マン監督作品に興味を持って・・・すると『マイアミ・バイス』というテレヴィのシリーズを知って、映画作品にもなってたけどテレヴィ版も面白い。ただ『それ行けスマート』とか『グリーンホーネット』とか家族の中で子供が見て面白がれるタイプから結構シリアスなのに移ってた感じ。
君:『バークにおまかせ』ってタイトル、子供向け?お手伝いさんとか。
私:いやいや、そうじゃなかった。色気場面も入るから・・でも子供が家族と見てたな。『ナポレオンソロ』なんてのも流行ってた。こちらもお色気含み。
君:そういうの、子供の頃に、見てたわけぇ!いやだぁ。
私:えっ、その反応、なんでぇ、ええっ、おかしいでしょ、大人のくせに。
君:大人、子持ち、だからこそ、心配するんじゃない。
私:そうなのぉ・・・。
君:っていうかぁ、多少、冗談、よ。でも子供が見れるくらいの・・そのぉ・・。
私:今時の色物はもろ裸でくんずほぐれつするから、ね。その頃はソフト、むしろ雰囲気の色気、だった。でもさ、リアルの程度問題はあるけど、ヒトのありさまを捏造しすぎてもまずいんじゃない、子供たちに対して、やんわりと大人たちのリアルを感じててもいいんじゃない。隠すとかして或る時、気づくっては、通常ないよ、どこかで知ってて・・・。
君:そりゃそうよ。今学校で知ることは、色々よ。授業だけじゃないし。
私:そこは今も昔も違わない、かも。
君:そうね。
私:キミって、はじけキャラ、だけど、真面目って思える、から、テレヴィとか見てこなかった?お気に入りのドラマとか。
君:はじけキャラ、ってなに?私、わからない。
私:この間BSで『ジャッカルの日』を見たんだよ、そしたら脇役で数えるほどのシーンしか出てなかったのに、やけに堂々と演じてる女優氏が印象に残ってしまって・・。
君:また私似?なわけないか。でも印象に残ったわけね。また話たくなってる?
私:ほんの少し。ルイス・ブニュエル監督の『銀河』や『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』にも出てた。そういや・・。って思い出せたり。レバノン出身でフランスで活躍したとかネット検索から知った。
君:他の作品、見たくなってるの、ね。お見通しでしょ。
私:そっ。お茶、飲みに行かない。きょうはボクに払わせて。
君:寒いけどぉ、お年寄りには、きつくない。
私:キミもけっこう同じネタ繰り返すようになってない。ご同様のお年頃?なんてね。
君:でました、なんてね。出かけましょ。散歩、少しコース、変えない?
私:君まかせ、で、いい?
君:いいわ、よ。