連載は続く~SF掌編『盛り土の原料は農地作りから』編


地元の小古墳の数々でさえこんもり小山程度の高さになる。
ちょっとした土木工事にはなるだろうし、そもそも原料の土をどうした?と素人ゆえ考えた。
先日のBSNHKでのピラミッド知見からして、働き手に心身上の無理を強いない方法の採用は前提にできそうだ。
早速ネット資料を探った。
で素人は似てるところから始まるようで、(稲作と抱き合わせの弥生以後の大量移入趨勢のその後なのだからということで)水田開墾とご一緒事業なら無理は少ないだろうという筋をとっかかりにしてみた。
すると早速同様にそう気づいて調べたら既に専門家筋すらがそういううっすらと推測できる知見も踏まえて仮説がだされている、ということを当方も知ることになる。
で手持ちの長野氏の新書にもそれと関わる章がふくまれていたことにも気付かせてくれた。
”解けた巨大古墳群の謎-百舌鳥・古市古墳群考察”(p219-237)の章。
同じ書き込みページには考古学の北条氏の発信も紹介している。
氏は定説についてしっかり踏まえた上で慎重に、一方でこんな仮定も持ち出せるということで、農地展開や鉄の道具移動やと絡めた仮説知見にふれられている。

素人で文献を沢山踏まえた論も出来ない程度のヤツが、藤原宮域造成工事に当たって古墳とか墓とかを壊してその後の一応丁寧な処置を施した史実くらいにはふれることができている。当時ですら、そういう扱いが通った。(だから今日が市民を支えにした集団の営みを模索中で歴史的積み上げの要素を無視する乱暴な試行錯誤とも異なる辺りを踏まえた上で、文化庁宮内庁やの勘違いをそろそろ修正していかないと、風化にまかせることになりかねないのでは?といかにも素人流にはなってしまうけれど注意のほんのちょっとだけを投げ掛けてみたい)

折角九州王朝の経脈について素人でもなるほどと思えるような発信の内実を気づき上げていらっしゃるのに、なぜか古墳を権力関係と密接なシンボル一辺倒で解釈して問題にしている風を感じる。長野氏はその呪縛を取り払いましょうよ、と素直に今時の天文の観測積み上げ機運に似た勢いを発揮されている。

再度酒井正士氏に登場していただく。(p10, 11, 157 の地図参照)
大陸半島系の出先は伊都国(築上町)にあった。そして不彌国(中津市)から2つに分岐して一方が奴国、もう一方が投馬国(日向灘沿岸 p162-)だ。
それがなるほどと頷(うなづ)けるためには寸法の妙を知る必要を指摘できる。
p60 以降を参照してもらって、半沢氏や谷本氏らが実験的な成果を発表している。
ネット資料で調べられることと両氏の知見を踏まえると即わかることになる。
中国の資料「周髀算経」「九章算術」から一里を76-77mとした。
酒井氏は77mで測量している。そして更に、投馬国については、分岐の不彌国からではなく、初発の半島の地点から20日と見て、投馬国に当てた。西都原古墳群のニュアンスを長野氏知見を参照できるならば、肩の力が抜けてより人々の集団の営みに近いところで事態を押さえるような思考の試行を可能にし易くする。
関西圏での試行錯誤については4世紀に入ってのこととして長野氏が細かく紹介してくれている。
農具や武具や馬具が絡む鉄器の生産・流通が並行する出来事のようで、関東平野について(氷川神社ほか、で物部氏の動きとも絡む形で)は著書やネット発信によって森田氏が時々積極的にふれられている。

開拓事業の一環で、結果的に農地をなんらか得られるというか生活上の衣食住の持続性の機会と繋がるのであれば、同じ苦しい仕事生活だったら、こっちの方を選ぶだろうな、というタイプの仕事の可能性も素人ゆえ感じてしまう。

そうやって農地の広がりとも合わせて古墳は広がり、なんらかのシンボル性を含ませた墓としての利用も普及し、だから流行が去ると同時に大切にする関心からも遠ざかってしまう。でかいほど維持は大変だ。
ただし、歴史的展開の観点からすると、実は、中央集権事業の以前に、狩猟系の基本生活から農耕(これだけに留まるわけがないのだけど)主体の生活が広まるその実際を考古的に記録してくれている列島事情にとっては実は相当に貴重な史料だったことに気づけそうだ。
史料は史料として厳密に調べ尽くしておくことが要る。それを放棄させるような勘違いは早々と修正する必要があるのでは、としつこく指摘してしまう。


【今回参照した資料】
沢山のネット書き込み資料
* 一例 http://www.mozu-furuichi.jp/jp/column_qa/vol011.html から
農具(くわ、すき、鎌の刃先)について子供向けに解説されている。

長野正孝著『古代の技術をしれば、「日本書紀」の謎が解ける』('17 PHP新書)

半沢英一著『邪馬台国の数学と歴史学 九章算術の語法で書かれていた倭人伝行路記事』('11 ビレッジプレス)の目次
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784894921689

谷本茂/古田武彦共著『古代史の「ゆがみ」を正す』('94 新泉社)
谷 本 茂:中 国最 古の天文 算 術 書 『周 髀 算経 』之事、数理科学、177(1978) p.52〜56
下司和男著『『周髀算経』にみられる数値について : 一寸千里説の意味するもの』('11 「計量史研究」誌(33-1) 国会図書館版 pdf あり)

酒井正士著『邪馬台国別府温泉だった!』('20 小学館新書)
森田悌著『武蔵の古代史』(’13 さきたま出版)
北条芳隆ほか編『古墳時代の考古学』シリーズ('12 同成社)