連載は続く~SF掌編『ことばの芸能・芸術』編




君:そろそろ探偵さんのことふれてもらいたい、けれど・・。
私:くたびれた?待ち、長かった、かな・・・。
君:・・・多分・・・かなり・・。
私:探偵ものなので・・・・。
君:そうよ、ね。
私:タイトルは、玄人じゃない人たち、的・・・。
君:そんな感じ、ってこと、ね。
私:うん。・・・、中に一人だけ、探偵か刑事っぽいプロがいる。で、その10人に近い人たちがなにやら事件解決について侃々諤々(かんかんがくがく)の議論で盛り上がっている。それぞれが事情通って感じもするし、特異不得意も感じ取れる話になっている。だけど、妙に事件解決に向けて技巧を凝らせる話にしている人物もいたりする。人の機微にふれる話ができる人物もいる。皆はついこう思うかもしれないけれど、意外にそうじゃないことが多い、のような実情に詳しそうな話ができる人物もまた別にいる。事件の内容次第では時代の事情に左右されやすいことを詳述できるだれかもいる。組織の事情から、追及の方向性に誤りが介在することもありうることを説得的に言及するもう一人もいる。ほとんど事件解決か、と思わせるくらい細部と大局を上手に説明する人物もいる。そして、そしてなんだ。誰一人として実際にこの事件に手を付けようとしないかのようなムードが漂う。そうこうしているうちに、相対的に多数派というかこのひとたちじゃないだろうな本物、って感じの一群から一人、早速調べに出向く人物が現れる。結末への持って行き方はわかりやす過ぎるパタンになっていてもかまわない。介護施設でも、どんな職業でもことばとして提示されて、豊かさを提供してもらえることはありがたいけれど、いざ実質を伴うプロ技となると、そこにいるかいないかはある種絶対的な質の違いをもたらしかねない。こんなところに来るんじゃなかったか、来て少しだけ良かったかも、の方に誘えるか。そこら。
君:面白い、わ、よ。それに・・・そういう筋だけしかこの間、考えてきてない、ってことも知ったわ、よ。そろそろお茶、行きましょう。どぉお。
私:アリガタイ。ほんと、アリガタイ。
君:大げさ・・・。とにかく、行きましょ。
私:そね。